第25章 第3回だいあフェスだもん

「よし」  あみは鞄の中にコーデが入っているのを確認した。
「先週は折角のライブであれだったからなぁ…」

 一週間前。
 あみはまもるさん、リアーネさんと会っていた。
「いつもありがとうございます」
 まもるさんチームとは、時々お互いに余ったコーデを交換している。
「ちょっと時間あるし折角コーデもコンプできたし一緒にライブしませんか?」
 あみは誘いながらコーデを確認した。
「げっ…!」
「どうかしました?」
「いや、今持ってるコーデ…」
 あみが持っていたのは私服系のダブりがアクセからシューズまでバラバラに続けて出たのでミックスコーデとしてまとめたものだった。
「ミックスなんですね。まぁ、私とリアーネもコーデを合わせたわけじゃないし、楽しそうですね」
 まもるさんがいいように解釈してくれたけど、結構焦ったのだった。
 一応、今度リベンジでライブできるよう考えてくれたけど、日程の都合でまもるさんもリアーネさんも難しいようだった。
「めばえがその日空いてるみたいですけど」
「めばえさん、ちょっとご無沙汰してるからぜひお願いしたいです」
 こうしてリベンジライブの機会を得たのだった。

 そんなわけで、あみは今日、ゆうきとアナザーセブンスコーデ合わせをする予定だったが、それとは別に揃ったばかりのレインボーコーデ一式を用意していた。
「あれ?確かあみさん…」
 不意に声がかかる。ミラクルMAXのなおさんだった。
「この前の日本チーム応援ライブ、見ましたよ」
 そういえば、スポーツ観戦配信してるチームの人だったな…
 なおさんと話をしながら歩いていると、今度はニチカさんと出会った。
「すごくお久しぶりですね」
 何となく三人で配信スタジオに入った。待合にも三人。このはさんとショウラさんが話をしていた。あと一人は知らないコかな?向こうを向いて座っている。
「なんか、ライブしたことある人がこんなに!」
 あみが驚いていると、向こうを向いて座っていたコが振り返った。
「全員ということですか」
 たしか、エルザさんとライブした時の同じ髪型だったコだ!
「あ、髪型変えてるから気づかなかったです。みつきさん」
「せっかくだから、このメンバーでライブしましょう」
 あみの提案に、
「多分、そう言うと思ってましたよ。いい思い出が作れそうです」
 このはさんが答える。

 その結果、あみはゆうきにこのセリフを浴びせられることになる。
「あみって、いつもライブの待ち合わせの時、周りの人とライブしてるよね…」

 さて、その数日後、あみは前回のこのはさんの「いい思い出」というセリフの真意を知ることになる。
 めばえさんとのライブには時間があったので、あみはたまにしか行かない配信スタジオに来たら先客がいたので、待ちながらツイッターを見た。
「あっ、このはさんのツイートだ」
 そこにはこう書いてある。
「私の代わりに、今、友達が私の仲間とライブしています」
 そこで配信しているライブが、なんと目の前で行われている。
 あみはライブを終えたセンターのコに話しかけた。
「あの、このはさんの知り合いの方ですか?」
「そうですが…?」
「このツイート見て」
 すると、一緒にライブしていたコが、
「あみさんですね。うちの仲間とジョイントしたと聞いていますよ」
 センターはリシュカさん、そしてこのはさんのチームメイトのあやさんとカケル★君。いずれも初顔合わせだ。
「そういえば、このはさんの代わりって…?」
「このは、短期留学で北欧にいるからね」
「えっ…?」
 そうか…いい思い出って、日本を発つ直前だったからなんだ。
「じゃ、わたしも一緒にライブしてこのはさんに届けたいな」
「いいですね。やりましょう」
 一応、このような事態を想定して、あみはジュエルパクトにパワーをためていた。
「よし。パクト使用っと」
 しかし、画面には通信失敗と出た。
「あれ?」
 それで出たコーデはたまたま今度試そうと思っていたものだった。
「まぁ、結果オーライかな。すごくかわいいコーデだし」

 そして、ライブ終了後、リシュカさんが、
「今日はありがとうございました。この後、別の場所でれんげちゃんとライブするので失礼しますね」
 あみも、普段のスタジオでめばえさんとライブをするしお互い様だ。
 そして、その場所はたまたま同じ場所だった。
 二人は次の配信スタジオに到着した。れんげさんがいた。めばえさんとの約束には少し時間がある。
 あみはスタジオの待合を見まわした。そこに見知った顔が。
「れいか♪さん、お久しぶり」
「あみあみが来れなくなったから、帰ろうと思ったところだったけど、あみさんが来るなんてね」
 そう話しながら外を見ると、めばえさんがいた。
「早く着きすぎたから外で待ってたんだけど、入れ違いになったかな?」

 そして、いつの間にか五人のジョイントライブとなっていたのだった。

「そういえば、うちは出ないんだけど、来週だいあフェスですね」
 めばえさんから貴重な情報が入った。ぜひとも来週は行かねば!

 そして、フェス当日。
 朝、まどかがあみに差し入れを持ってきた。
「紅茶とドーナツで英気を養ってね」
「ありがとう。そういえば、紅茶とドーナツのコーデあったよね」
「あったね」
「準備運動がてら、それでペアライブしようか」

 さて、会場に到着。 「うわぁ、エントリー多いなぁ」
「抽選ですかねぇ」
 隣から声がかかる。
「あ、まいまいさん!」
「お久しぶり」

 抽選が始まった。二人ともなかなか呼ばれない。
「一回目は二人とも当選したのにね」
「初めて外れるかも…」
「まぁ、まだ前半だし」

 しかし、最後まで二人が呼ばれることはなかった。
「外れちゃいましたね」
「他の会場探そうかな」
「わたしは一般開催待とうかな…」

 あみは参加賞のしあわせのゴールドジュエルワンピを貰ってからまいまいさんと別れた。
「お互い、挑戦できるといいですね」

 だいあとお揃いの靴とアクセ。今回のワンピ。これで残念会ライブでもしようかな…
 そう思って、別のスタジオへ向かうと、ひなさんに出会った。
「あ、あみさん!大会どうでした?」
「抽選で落ちちゃいました」
「それなら、私なんて友達とサッカー見に行ってたから、間に合わず不戦敗」
「ははは、一緒に残念会ライブでもしますか?」
「そうですね。付き合いますよ」

「ふぅ。いい気分転換になりました。ありがとうございます」
「いえいえこちらこそ」
「しかし、秋も終わりなのに、なかなか一般開催しないですね」
 ひなさんの言葉にあみははっと思い出す。
「プレゼントボックスの秋のコーデ、期限もうすぐでしたっけ?」
「ですね」
「じゃ、買っておこうかな」

 あみは、その後、リシュカさんに会ったスタジオの前を通りかかった。
「さっそく、さっき買ったコーデ使いたいな…」
 普段、この時間にここに来ることはない。このはさんがよく使うらしいけどこのはさんは北欧にいるし、ここでは他になみりーん★さんとあと一人くらいしか見たことがない。
 そしてこの時間に来たおかげで、ここのランキングで見かける中で、まだ一緒にライブしたことのない最後の一人に会ったのだった。
「あ、はじめまして。いちかさん…ですよね。前にいいねを貰ったことがあるんですけど」
「そういえば、そんなことがあったかも。確かその時、いいねを返してくれましたよね」
「せっかくだから、一緒にライブしませんか」
「お誘い、ありがとうございます」

 こうして、ここのスタジオで一緒にライブをした人がまた増えたのだった。
「ここには、仲間のゆうきってコとよく来るから、また会ったら今度は三人でライブしましょう」
「楽しみですね」

 さて、配信スタジオでは、その日のライブ画像が広告として使われる。
 あみは、この日の画像を見て、思わず叫んだ。
「ちょっと、何よコレ!」
 あみのコーデは装飾が多い割にはスカートはかなり短い。
 画面では目いっぱい脚を披露したところに
「おかねをいれてね」
 と出ている。
「これじゃまるでエッチなお店の広告だぁーー!」


今回のライブシーン
                                   
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