第22章 お姉ちゃんの誕生日だもん
「かんぱーい!」
「おめでとう!」
「ありがとう!」
みんなの祝福にゆみはぺこりと頭を下げた。先日のライブでゆみは情熱のグリーンジュエルコーデを手に入れたので、今日はその祝賀会だ。
「そういえば、あの時ゆみが着ていたのは芸術の秋のコーデだよね」
「うん。あれは色が色々あるから、あたしの好きな緑でね」
「芸術らしく色とりどりでライブしたいな」
ゆうきが提案する。
「ゆうきは青だっけ。じゃ、他の色持ってる人三人募集だね。わたしはピンクあるよ」
あみがすぐ実行にうつす。
「私、赤と雑誌の付録の茶色持っていますよ?貸しましょうか?」
れみの申し出にまみが手を挙げる。
「いつやろうか…」
「全員の予定が合うのは週末だね。今日はもうすぐれみが予定あるんだよね」
「いずれにしても、私のコーデ、今、寮にありますしね」
そんなわけで、次のライブまで否がいてしまったので、あみはツイッターを見てみた。
「あ、つぼみさんが書いてる…とーふちゃん今日誕生日って…」
更に
「あいきさん、明日誕生日なのか…」
あみは二人にメッセージを送った。
「バースデーお祝いライブをしたいので、よければゲストに来てください」
翌日、幸い予定が会い三人でライブすることになった。
「素敵な企画をありがとうございます!」
「誕生日おめでとうございます。とうふさんは一日遅れになっちゃったけど…」
「大丈夫。昨日はお姉ちゃんとお祝いしたから、今日でいいんです」
「とうふさん、お姉さんがいるんですね」
「あれ?あみさんとライブしたことあるって言ってた気がするけど…しずくだよ。覚えてないですか?」
「えっ?とうふさんとしずくさん、姉妹だったんですか?」
そんなサプライズも交えつつ、お祝いライブを楽しんだのだった。
そして、芸術の秋ライブが終わった後、あみはゆうきと雑談していた。
「あみ、一昨日、あいきさん達の誕生日にかこつけてスイーツ食べてたよね」
「いや、別にスイーツ目的じゃないし…あ、そうそう。とうふさんとしずくさん、姉妹なんだって」
「話をそらしてごまかさないの!でも、姉妹、芸術、今月誕生日とくれば、思い出すよね」
「お姉ちゃんの事?」
「うん」
あみの姉、くみは美術留学でヨーロッパにいるが、帰国した際には一緒にプリパラに行ったりしたものだった。
「そういえば、わたしとれみだけがこの世界にきた時、必ずゆうきの夢を見た枕があったんだ」
「何それ」
「それで寝たら、お姉ちゃんの夢見たりして」
その夜、あみが枕を使うと、本当にあみはくみとライブする夢を見た。
「お姉ちゃん、メイク変えた?」
「うん。大人っぽいでしょ」
「じゃ、髪型も変えたら?」
「どうかなぁ」
「ツイッターでアンケートとってみようか」
夢の中の翌日、アンケート結果は髪型を変えた方がいいと出た。
「どうかな?」
髪型を変えたくみは確かにお姉さんっぽくなったのだが、そこで目が覚めた。
そして、それは正夢になった。
あみに国際電話が入った。
「もしもし、あみ?」
「お姉ちゃん!なんで?」
「本当にあんたもこの世界に来てたんだね。スペインでラウラ☆って人からあんたの事をきいてね」
「そういえば、この前大阪で会ったなぁ」
「ワタシの誕生日に大阪行くから会おうよ」
「うん。もちろん!」
そして、くみが来日する日。あみはゆうきとかなり早めに大阪に向かった。
大阪の街を歩いていると、すれ違った三人組のコたちの話し声が聞こえてきた。
「多分そうだよ」
「人違いだったら失礼じゅない?」
「そんなに気になるなら声かければ?」
「じゃ、まちがってたら七世も連帯責任ね」
「なんでそうなる?」
逆に、気になってあみが声をかけた。
「あの…わたし達、何か…?」
「あ、人違いだったらごめんなさい。うちの愛姫の誕生日ライブしてくれた人かなって」
「えっ、そうですそうです!あいきさんのチームの方?そういえば、ひらはさん達以外にも仲間いるってあいきさん言ってた」
「私は朱華。あっちにいるのが七世と莉々亞です」
「はじめまして」
「あ、わたしはあみ。こっちはゆうきです」
ゆうきが会釈する。しゅかさんたちも会釈を返す。
「ここで会ったのも何かの縁ですし、ジョイントライブしませんか」
あみが提案する。
「ちょうど、暇つぶしに散歩してただけなまで、是非とも!」
ななせさんが答えると、しゅかさんもうなづいている。
「えっ?あたし予備のコーデ、この前手に入れた郵便屋さんコーデくらいだよ」
あわてるゆうきに、
「ゆうきのおじいちゃん、郵便局員だったよね」
「うん」
「なら大丈夫!」
「どういう根拠やねん!」
あみとゆうきのかけあいにりりあさんがくすっと笑う。
「とにかく始めましょうか」
そんなこんなで、ライブ配信を終えると、あみは姉と感動の再会を果たした。
「本当にあみなんだね!まさかこっちの世界で会うなんてね。ゆうきも来てたのか。びっくりだよ」
「れみとさなえも来てるんだれど…って、あれ?お姉ちゃん…そのメイクと髪型!」
「うん。大人っぽいでしょ」
なんと、くみは夢で見たメイクと髪型になっていた。
「そういえば、ライブ配信、手広くやってるんだって?」
「あ、知ってたんだ」
「スペインでいつも行く店の常連にメロディー☆ってコがいるんだけど、あんたの事知ってたよ」
「うん。一緒にライブしたことある人だよ」
「まぁ、ワタシも」
くみはパスケースから会員証を取り出した。
「じゃ、再会を祝してライブやろう」
まず、1曲ライブしたら、すんなりと合わせることができた。
ライブを終えると、声がかかった。
「あみちゃん!」
みらいとさらがいた。
「みらい君と買い物に来たらたまたま見かけてね」
「あれ?はじめましての人…かな?」
「妹がいつもお世話になってます。あみの姉で、くみと申します」
「お姉ちゃん、今日が誕生日なので帰ってきたんです」
「そうなんだ。おめでとうございます」
みらいたちは買い物の途中なので、それだけで去っていった。
すると、くみが、
「あみ、ゆうき。もう1曲やろう!」
「えっ?コーデもうないよ」
「じゃ、このままの私服でいいじゃない」
さすがはあみの姉だった。
今回のライブシーン
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