第18章 第2回だいあフェスだもん

「あ、見て」
 ゆみが配信チャンネルを開いた。
「始まったんだね。だいあフェス」
「そういえば、前も先行開催って言ってた割には一般開催ないね」
「あれ?優勝って?」
 画面ではレインボーアラビアンコーデを着た3人が表彰状を持っている。
「今回は各地域の上位3チームが表彰される対戦方式みたいですよ」
 れみが説明する。
「よく知ってたね」
 感心するみぃに、
「いや、ここに書いてるし…」
 れみは説明文を見つけて読むのが得意だ。ちなみにあみは説明文を読んだことはない。

 翌日。あみはゆうきと出かけていた。あみの来週の仕事の現場の下見だった。
「どう?感じはつかめた?」
「まぁね。そういえば、この近くで今日も大会あるんだっけ」
「見に行ってみようか」
「だね」

 会場にはひなさんがいた。
「こんにちは」
「あれ?いたんですか?抽選の時は気づかなかったです」
「あ、今、通りかかっただけですからね」
「じゃ、参加はしてないんですね」
「ちょっと時間合わなかったし」
 そこへ、
「さて、もうすぐ出番だ」
 まいまいさんが通りかかった。
「あれ?エントリーしなかったですよね?」
 まいまいさんもあみに気付く。
「来週も近くで大会あるみたいですよ。チャンスはまだありますよ」
 まいまいさんはそう言うと、ステージの方へ向かっていった。

 そして、翌週。まいまいさんの言っていた大会の会場。
 あみは近場の仕事の合間にエントリーに来た。
 一緒にステージに立つゆみ、まみと合流する。そして、エントリー受付に。受付番号は4番だ。
「意外と来てないのかな」
「ここって、かなり熟練した常連さんが使ってる場所だから、表彰は激戦区だからかな」
「さて、コーデとかはどうするの?」
「うん。えっとね…あれ?」
 答えようとして、あみの顔色が変わる。
「どうしたの?」
「ない…わたしの会員証…どこにもない!」
「コーデのカードにくっついてたり…」
 ゆみがあるあるを口にする。
「してない!寮でも出してないはずだし…」
「最後に見たのは?」
「昨日、練習でライブした時かな」
 幸い、昨日の配信スタジオは近所だ。あみはスタジオのカウンターへ急いだ。
「あの…昨日、会員証の落とし物ってありませんでしたか?」
「ありますが…あ、これですね」
 スタッフの人が出してくれたのは、まぎれもなくあみの会員証だった。
「助かったぁ…ありがとうございました」

「よかったね」
「うん。めちゃ焦ったけどね」
「で、コーデはどうするんだっけ」
「わたしはレインボーアラビアンにするね。この大会で流行ってるみたいだし」
「確かに、ステージ属性と合うからいいねも集まりやすいかも」
「じゃ、レインボー童話でいくのである」
「まみはレインボーシンデレラ確定だから…」
「あみ、確定って…」
「シンデレラずっと着てたし」
「あれはパズルのために着てただけなのである」
「でも、似合ってて可愛かったよ」
「それなら、あたしはレインボー白雪姫かな」
「コーデも決まりだね」

 さぁ、いよいよ予選。抽選会だ。3人は会場入りする。
「あ、あみさんだ。こんにちは!」
 シュヤラさんとペンデュラムさんがあみ達を見つけて声をかけてくれる。
「こんにちは。お互いがんばろうね」
「あ、皆さんお揃いで」
 ひなさんが加わる。
「あれ?ひなさんは先週…?」
「あ、今日は同じグループのメンバーが出るから応援に来ただけ。先週と逆ですね」

 ひなさんとシュヤラさんが話をしている間に、あみの所にはクララさんがやってきた。
「こんにちは。参加されるんですね」
「はい。お互い、本戦に進めるといいですね」

 そこにアナウンスがある。

「本日のエントリーは14名ですので、先着順といたします」

「やったね。わたし達は4番だから第2戦か。クララさんは?」
「えっ…2番です。でも弱ったなぁ…」
「どうしたの?」
「実は、メンバー足りなくて、終わったチームの方に助っ人頼もうとおもってたんですけど、トップなので」
「そっか。じゃ、準備運動がてら、わたしが入るよ」
「えっ?出番の直前じゃないですか!」
「連続ライブが怖くて21人ライブが出来るか!だから大丈夫」
「よく判らない例えだな」
 横からゆみがつっこむ。
「昔の「赤いきつね」ってカップうどんのCMで、戦場で「戦車が怖くて赤いきつねが食えるか!」と言いながらうどん食べるのがあったんだよ」
「多分、我の生まれる前のCMであろう」
「コーデはどうします?」
「わたしは流行に乗ってレインボーアラビアンで出るよ」
「それなら私も持ってるから私もそれにしますね。あみさんは別のコーデでお願いします」
「なんで?」
「本番で新鮮味が無くなっても悪いですし」

 第1戦が終わった。残念ながら、クララさんチームは38,467点で、隣のチームの38,724点には及ばなかった。
「せっかく助けてもらったのに、負けちゃいましたね」
「敵は取るよ。わたし達、さっきの人のスコア超えるよう頑張るね!」

 第2戦はあみたちの出番だ。とりあえず、普段通り落ち着いてライブすれば行けるはず。
「キラにちはー」
 だいあが空から来る。ここでホップ、ステップ、ジャンプのタイミングが重要になる。
 タイミングのルーレット、最高ポイントが2つ並ぶパターンになった。そこを狙って跳ぶ。

 結果は40,463点。よし、超えた!
「…隣は?」
 隣のチームは42,041点だった。

「ははは、敵は取ったけど、わたし達も負けちゃったね」
「でも、暫定2位ですよ」
「どこまでもつかなぁ…」

 第3戦は勝ったほうが39,991点暫定3位。あみたちは2位をキープ。

 そして、第4戦。
「あ、シュヤラさん達だ」
 シュヤラさんは42,948点で一躍トップ
「さすがだなぁ」
 感心しているあみにクララさんが、
「それでも、後半に入ってもまだ表彰の可能性残ってますよ」

 第5戦。勝ったチームはいいねが伸びている。
「ああ、ここまでかな…」
 結果40,314点。ギリギリ3位キープだ。

「あと2戦耐えればいけますよ」
「心臓に悪いなぁ…」

 そして、第6戦で41,292点が出た。
「あ、陥落しちゃった…」

 そして、最終戦。
「ひなさんの仲間のチームだっけ」
 センターではないものの、チームに見知った人がいる。
「あ、この前ゴールド認定ライブで会ったすばるさんだ」

 最終的に、あみ達は4位だった。賞状はないものの、だいあのヘアアクセとめるのジュエルワンピは賞品として貰えた。
「まぁ、負けちゃったけど楽しかったかな」
「一応、ベスト4もおめでとう、ですよ」
 クララさんが言ってくれる。
「せっかくだし、貰ったコーデで一曲踊ろうかな」
 そう言ったあみの肩にクララさんが手を置いた。
「付き合おうか?」
「うん。ありがとう」
「じゃ、あたし達は先に戻って打ち上げの準備するね」
 ゆみたちは引き上げていき、あみたちは配信スタジオに向かうのだった。


今回のライブシーン
             
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