第8章 だいあフェスに参加だもん

「ねぇ、ポスター見た?」
 あみ、れみがお茶しているところに、まみとゆみが入ってきた。
「だいあフェスの詳細でも出てたの?」
 ゆみの問いかけにあみが答える。
「あ、それじゃなくて、限定チャンネルで梅雨のコーデが出るみたいだよ」
「どんなの?」
「なんか、カエルさんがついてて可愛いやつ」
「カエルちゃんコーデといえば…」
 あみが思い出したように言う。
「何かあったの?」
「実は、ゆうきと一緒にプリパラで初めてライブした時って、話の種に一度だけ体験のつもりだったんだ」
「そうなんだ」
「そんな時、キャンペーンでカエルちゃんコーデをたまたま貰って、かわいいからまたライブに行って」
「もし、そのカエルちゃんコーデが無かったら、私とも出会わなかったってことですね?」
 れみが言う。確かにそうだ。
「そうなるかな。多分みんなに会えてないよね」
「あ、今回のコーデ、公式に出てる。こんなデザインなのである」
 まみがコーデの詳細を検索してきた。
「へぇ、かわいいね。着るの楽しみ。3色あるんだね」
「ところで、前のはどんなコーデだったの?」
 ゆみが訊く。
「こんなのだよ」
「わぁ、これもかわいい!新しいのが3色なら、あたしはこれ着ようかな。旧コーデもカラバリあればいいかも」
「新旧カエルコーデライブか。面白そう!」
「♪カエルカエルけろけーろー、人間らしくカエルらしく」
 あみがいきなり歌いだす。
「何それ?」
「昔、UR住宅のCMでカエルの家族が出てくるのがあったんだ。そのコマソンだよ」
「でも、そんな昔のコマソンは無いからUSAでいいよね」
「うん。いや、そもそも誰もその歌でライブするとは言ってないって!」
「じゃ、あと一人だね。ゆうきでも呼びますか」
 あみがディアクラウンの休憩室に電話をかける。
「もしもし、あれ?さなえ?」
 ゆうきは出払っているけど、さなえは参加できるとのことだった。

 ちょうど、その話が終わったところで、みぃとまどかが入ってきた。
「こんなチラシもらったよ。面白そうじゃないか」
「え?なになに?『事件発生!?名探偵コナンコラボ』か」
「名探偵コナンと怪盗キッドのコスプレ衣装をゲットできるみたいでけど、さっそくコナンのをゲットしたわ」
 まどかはさっそくコーデをゲットしていた。
「じゃ、わたしがキッドやろうかな。怪盗らしくモノクルも付けちゃおうかな」
 あみが乗ってくる。
「それなら、ボクは怪盗ジーニアスのコスでみしようか」
「正義の怪盗だけど、私はファントミハートのコス、いけます」
 みぃとれみが話に乗る。
「じゃ、あたしはプリパラポリスでみぃを逮捕しちゃうぞ」
 ゆみが加わる。
「我は…逆逆警察のコス…持っていないのである」
「ゆみは前のわんわんポリスでいいんじゃないですか」
 コーデのないまみにれみが助け舟を出す。
「ルパンレンジャーvsパトレンジャーみたいな3対3の泥警対決になりましたね」
 れみが去年の戦隊ヒーローに例えて締めくくる。

 カエルライブや泥警ライブとかをしているうちに、だいあフェスの詳細が発表された。
 概要はあまねさん達から聞いた噂の通りだった。今回は先行大会で、数日かけて各地で実施される。
 課題曲のライブを成功させると、だいあとお揃いのシューズがもらえるというものだった。
「課題曲は『ときめきハートジュエル』なんだね」
「エントリーは3人か」
「じゃ、ここは伝説の3人ユニットで手堅くゲットかな」
 ゆみが提案する。
「伝説?」
「プリパラで数多くの伝説を作った、あみ・ゆうき・れみの3人」
 そういえば、この世界ではプリパラでの出来事が書かれた同人小説があるんだった。

 この近所では先行大会が3日に分けて実施され、各20人が参加できるということだった。
 あみたちは初日にエントリーすることにした。正直、この日しか都合がつかない。
「えっと…わたし達のエントリー番号は…34番か」
 エントリー番号と一緒に、先着賞のコーデが貰えた。
「ジュエルコーデだね。先着すると貰えるんだ…」
「あみは自力でゲット済だけどね」
 そういうゆうきもゲット済だが。
「いいなぁ、私も早く欲しいです」
 れみが言う。
「だよね。でも、れみもきっとゲットできるよ。昨日、まみがゲットしたしね」
「そうなの?」
「うん。合わせのためにコーデ着てライブしてたらだいあちゃんが来たって言ってた」

 そんな話をしていると、まいまいさんが通りかかった。
「あ、こんにちは」
「うちは38番でした。ほぼ二組に一組の抽選ですかね」
「当たるといいですけど…」
「他に知り合いいるかな?」
「つぼみさん達は明日エントリー予定、まもるさん達は都合つかないって言ってたよ」
「エルザさん達は地元で参加みたいですし、他にはいないようですね」

 抽選が始まった。
「では、最初は30番の方。次は26番…」
 次々と出場チームが決まっていく。
 発表が後半に入る。まだ34番は出ない。
「…次、38番」
 まいまいさんのチームは当選したようだ。更に発表は続く。
「えー、18組目は…」
「ああ、あと3人かぁ…」
「34番!」

 やったー!

 3人は抱き合って飛び上がった。
「あ、まいまいさんからメッセージ来た。「おめでとう。当選して良かったね」って」
「じゃ、返信しなきゃ」
「お互いがんばろうね、っと。これでよし」

「コーデはどうしようか」
「サーカスコーデでセンターのあみが赤、あたしとれみがオレンジとかどうかな」
「そうだね。赤なら属性もステージに合うしいいかもね」
「じゃ、決定!」

 そして、いよいよあみたちの出番だ。
 会場には2つのスタジオがある。
 隣のスタジオにもチームが向かっている。センターのコと目が合った。
 白雪姫コーデで参戦するようだ。

 お互い、がんばりましょう。

 言葉は交わさなかったけどそんな感じで視線を交わすと、お互い、自分のスタジオに入った。
 曲が始まる。あとは普段通りやるだけだ!

「だいあフェス、大成功なんだもん。この靴でステップを踏んでほしいんだもん」
 やった。規定点数突破だ!

 ライブを終えて出てくると、隣もちょうど終わったようだった。
「お互い、シューズを貰えたみたいですね」
 あみは隣のチームのコに話しかけた。
「あ、はい…」
「はじめまして。わたし、あみ」
「ペンデュラムです」
「ここでお会いしたのもなにかの縁!隣の配信スタジオでジョイントライブしませんか?」
 ペンデュラムさんは隣のコの目を見た。
「あ、一人帰っちゃいましたけど、それでいいなら」
 隣のコが答える。
「お願いします。あ、うちのメンバー、れみとゆうきです」
「私はシュヤラです。よろしくお願いしますね」

「コーデはこのままでいいですかね」
 ゆうきがシュヤラさんに訊く。
「そうですね。ちょうどバランスがいいのではないでしょうか。あみさんがセンターならちょうどペアになりますね」
「じゃ、わたしが今日もらったシューズとジュエルドレスでセンターやれば記念ライブになるかな」

 記念ライブの配信にさっそく「いいね」がついた。
「あ、「ひな」って人からいいねが来た」
「それ、さっき帰った友達です。チームは違うんですけどね」
 シュヤラさんが言う。
「じゃ、次は一緒にライブしたいです!」
「会ったら伝えておきますね」
 あみのリクエストにシュヤラさんが答えてくれる。

 なんか、楽しみな事が一つ増えた。


今回のライブシーン
                  
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