第4章 ジュエルコーデお披露目だもん

 ディアクラウンの休憩室。ゆうきとさなえが休憩していると、、あみ達がコンビニ袋を持って入ってきた。
「差し入れのお菓子、持ってきた!」

 6人でお菓子を食べながら、テレビをつける。
「プリズムショーの中継だって」
 あみたちの世界にもプリズムショーはあった。女の子たちがおしゃれな服でフィギュアスケートをするファッションショーだ。
「プリズミー☆のれいなさんのプリズムジャンプ、可愛くて好きだったなぁ」
 さなえの台詞に、まみが疑問符をつける。
「向こうの世界では、女子競技も中継があったのであるか?」
「え?」
 あみたちのリアクションにゆみが追い打ちをかける。
「普通は男子競技だよ」

 確かに、画面ではイケメンの男子選手が「胸キュン体験」のプリズムジャンプを跳んでいた。
「うわ・・・別物だ、コレ」
『続きましては、大和アレクサンダー選手です』
 筋肉質のレスラーのような選手が入場してくる。
「あ、前の大会で舞台壊して失格になった人だ」
 ゆみが注釈を入れるが、何という不名誉な覚えられ方なんだろう。
 しかし、次の瞬間、あみの目は画面に釘づけになった。
 ジャンプの軌跡が紫色の竜になり、その頭の上に立って地上に降臨するように着地したのだ。舞台が壊れるのも頷ける豪快な演技だった。
「ねぇ、あれ、かっこいい!あんな「やってみた」アプリ欲しい!」
 あみは興奮して、隣にいるれみの肩をぺしぺし叩きながら言う。
「さすがに、あれは訓練を重ねたあの選手だから出来るのであって、あたしらが真似したら即入院じゃないかな」
 ゆみが真面目に答える。
「でも、アレクサンダー選手も強力かわいいですけどぉ、次の次に出るレオ選手は普通にかわいいですぅ」
 突然、誰かが会話に割って入る。
「まりあさん?」
 ゆうきが乱入者を見て言う。
「この人が、あたしたちの入寮をとりもってくれたんだよ」
「かわいい向上委員会の金森まりあですぅ。よろしくね」
「はぁ、こちらこそ…」
 言いかけるあみに、
「わぁ、小麦色の肌も、髪のおだんごも、全部、ぜーんぶかわいいですぅ!」
 まりあはあみに「かわいいシール」をぺたぺたと貼り付ける。
「お友達もかわいいですぅ」
 続いて、まみ、れみ、ゆみにもシールを貼る。四人はとりあえず、シールを貼られながら自己紹介する。
「あ、西園寺レオ選手、出ましたよ」
 さっきのシールラッシュで、間の人の演技は見れずじまいだった。前大会初登場で4位の期待の新人とか言っていた気がするが…
 画面ではアイドルの女の子だと言われれば信じるくらい中性的な小柄な選手が演技していた。
「確かに…女子プリズムショー見てるみたいだね」
「男の人なのに美少女に見えるのって、ちょっと嫉妬しちゃうな」
「なんとなく、プリパラのレオナさんを思い出すなぁ」

 そうこうしているうちに、テレビはニュースになった。
 いつも政府発表で出てくる官房長官が出ている。
「そういえば、平成の次の元号決まるんだよね」
 官房長官は額縁に入った新元号を出そうとした。まだ斜めで全体は見えない。
「命?」
「何だろうね」

「新しい元号は「令和」であります」
 官房長官が額縁を掲げて宣言した。

「をを!歴史的瞬間を見たね」
「歴史的といえば、今日、あみのジュエルコーデお披露目ライブやるんだよね」
「うん。そろそろ行くね」

 あみは配信スタジオへ向かった。
「こんにちは!本当に戻ってきたんだね!」
 いきなり、つぼみさんに会った。もう一人のコは初めて見る。
「はじめまして。りりねです」

 二人もジュエルコーデをゲットしたとのことだった。そして、同じデザインでも、持っているジュエルによって色が違うようだ。
 つぼみさんは紫、りりねさんは黒だった。
「色違いで面白いね。一緒にライブしようよ」
「あ、あみちゃんはピンクなんだね。みらいさんとお揃いだね」
「そうなんだ?みらいさんもピンクなんだね」
「じゃ、あみちゃんがセンターでやろうか」

 ライブが始まる。なぜか、あみにだけジュエルチャンスの時の大きな翼が出る。
「センターだと翼が出るみたいね」
 そして、それだけではなく、途中でドレスのジュエルもキラキラ光りだした。

 ライブが終わって。
「こめんね、わたしの羽、邪魔だったんじゃない?」
「いいんじゃないですか。あれはあれでお祭りみたいですし」
 りりねさんがフォローしてくれる。
「そういえば…」
 つぼみさんが話を変える。
「スマホの赤いチューリップ名札のアイコンって」
「ああ、幼稚園とかにあるやつ?」
「あれって、豆腐を強火で焼いてるように見えない?」
「えっ…あ、どうしよう。そうとしか見えなくなっちゃった」
 みんなで笑った。翼問題はあっさり水に流れた。
「じゃ、パシャリング行ってきます」

 あみが撮影ブースに行くと、小道具に「令和」の額縁が置いてあった。
「うわ…対応、早いっ!」


今回のライブシーン
   
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