第3章 ジュエルコーデ、ゲットだもん
「さて、お茶にするのである」
まみが買い物袋からペットボトルのお茶とポテトチップスを取り出した。
「実際、お菓子とか、これでも足りるものなんだね」
「あみがいた頃からみたら2割程度かな」
まみとゆみがお茶しているところに、ミラクル☆キラッツの三人が入ってきた。
「アンタたち、ばーちゃんアイドルの配信見た?」
えもが訊く。
「バーチャル、よ」
りんかが補足する。
ゆみが配信をつける。
「カラッとジュエルにキラにちは!バーチャルプリ☆チャンアイドル、だいあだもん」
だいあが現れた。
「なんと、ジュエルアイドルになるためのジュエルコーデをゲットできる、ジュエルオーディションを開催するんだもん」
「こりゃ、やるしかないよね!」
えもが気合を入れる。
「えもちゃんがえもている…いや、もえている!」
みらいがそれに乗っかってコメントする。
「…と、ここまではこうだったんだよね」
「でも、ここからよ」
りんかが言う。
「ジュエルオーディションを盛り上げるため、ゲストを呼んできたんだもん」
「ゲスト?」
ゆみがいぶかしげな顔をすると、ライブ映像が映る。
「あ、最近話題のファントミの人?それに、モモカさん、あと、伝説のアイドル、カノンさん…」
「いや、そうじゃない。この人たちと一緒にライブしているのは…」
「あみ、れみ、ゆうきさんも!」
「やっぱり、これ、あみちゃんだよね」
みらいが確認を求める。
「マジ?やばい!間違いない!」
「これ、生中継なのかな?」
「いや録画っぽいけど、ちょっと前みたい。まだ近くにいるかも」
「行ってみようか」
ミラクル☆キラッツと別れて、ゆみとまみは外に駈け出した。と、ディアクラウンから飛び出してきたコとぶつかりそうになる。
「きゃ」
「あ、ごめんなさい。大丈夫?」
「ええ。はぐれた友達がこの近くでライブ配信していたみたいなので慌てて…」
「そうなんだ。あたしらも似たようなものなんだけど」
なんとなく3人は一緒に同じ方向へ走った。
そして、目の前にいた3人と目が合う。
「あ」
「ゆみにまみ…さなえも一緒?」
「え?」
ゆみとまみは一緒にいたコを見る。
「あみたちの知り合いの方…ですか?」
「はい。さなえっていいます。あなたたちも…?」
「あたしはゆみ。で、こっちはまみ…ぐえっ!」
ゆみが紹介を終えるより早く、猛ダッシュしてきたあみに3人はまとめてハグされた。
「あみ、痛い痛い…というより苦しいーー!」
「まさか、また会えると思ってなかったもん!」
いったん落ち着いてから。
「えっと、ゆうきはゆみたちに一度会ってるよね」
「うん」
「とりあえず、あみと私はこっちの世界でまみ、ゆみと四人でチームでした」
れみが解説を始めた。
「そして、以前は向こうの世界で、ゆうき、さなえとあと一人で五人のチームを組んでいました」
「で、どういうわけか、一人を除いて四人がこっちに来たってことね」
ゆみが答える。
「うん。わたしとれみは「だいあ」ってコに問答無用で連れて来られた感じだよ」
あみが状況を説明する。
「ワタシはゆうきと一緒に、変な赤いシステムエラーというのが現れて…」
さなえが言うと、
「それ、わたしとれみが前に来た時と同じだね」
あみが補足する。
「とりあえず、あみとれみはプリズムストーンに戻るのかな?」
「多分、寮がまだ空いていたらだけど…」
「店長さんに訊かないとね。でも、ゆうきさん達は…」
「あ、あたしたち、まりあってコの取次ぎで、ディアクラウンってところの寮に入るんだ」
「そうなんだ」
あみたちが納得している傍らで、まみが指摘する。
「でも、それって、ライバル店の所属になるんじゃ…」
「そうなんだ」
「でも、まぁいいんじゃない?それより、せっかく六人揃ったんだし、記念ライブしない?」
「じゃ、その前に」
さなえが何か提案しようとする。
「何?どうしたの?」
「あみとゆうきのペアライブと、ゆみさんたちのチームの4人ライブを見たいの」
「いいけど…」
「それで、皆さんの動きを見れば、6人ライブでワタシ、合わせられると思うので」
さなえはプリパラでバックダンサーをしていたので、ライブを見れば、振り付けを合わせることができるのだった。
「あたしはこのシークレットアリスの新作のリアルクローズ着てみたいな。2色ともかわいいんだ」
「あ、それ、さっきりんかさんが着てたやつかな?」
ゆうきのリクエストをゆみが補足する。
「じゃ、その2色でペアライブかな。ゆうきとペアライブするの、久しぶり」
あみも乗り気だ。
「そういえば、さっきの配信であみが着てたの新作のSR?」
「あ、あれ。派手だけどNなんだよ」
「そうなんだ。コスパいいね」
「じゃ、それで4人ライブする?」
「だね」
「で、肝心の全員のライブは?」
「逆にこのままみんな今の服でやるとか?」
「いいかもね。却って思い出になるかも」
こんな感じでライブをした。すると、あみのところにジュエルパクトがどこからともなく飛んできた。
「?」
あみがパクトをキャッチすると、景色が一転し、いつの間にかステージの真ん中に一人で立っていた。
パクトにセットしたジュエルが光る。
「これを押す…のかな?」
あみがジュエルを押すと、コーデチェンジが始まり、あみは純白のドレスを身にまとっていた。
「わぁ、綺麗なドレス!」
いきなりあみの背中に花をあしらったデザインの宝石で出来た翼が出現する。
「キラにちは〜!」
上空からだいあがダイブしてくる。そして、あみの手首を掴む。
「ジュエルチャンス、一緒に行くんだもん!」
まさか…この展開は?
一瞬、この世界に来た時のことが頭をよぎる。
「行っけーっ!」
一気に高速で上空へ舞い上がる。
あああ、やっぱりぃぃーーっ!
ホップ、ステップ、ジャーーンプ!
だいあと一緒に踏み台を足場に跳ぶごとに、あみのドレスがジュエルと同じピンク色に染まっていく。
そして、上空のステージに到達すると、ドレスにちりばめられた宝石がキラキラと輝く。あのキラッとコーデの輝き以上のキラキラだ。
あみとだいあはステージで並んで踊る。と、だいあが一段高いところに飛び乗る。
「カラッとジュエルに大成功!今回のコーデは…」
このコーデを紹介している。
「ときめきのピンクジュエルコーデ、ゲットだもん!」
「おめでとう!」
気が付くと、あみはピンクのジュエルコーデを着て元の場所に立っていた。
「なんだか、訳が判らないうちにジュエルコーデが手に入っちゃったね」
「ノリでおめでとう!とは言ったものの、感じる暇もなかった感じだったね」
「でも、キラキラで綺麗だったね。あたしも早く欲しいなぁ」
みんなは口々に感想を述べる。
そこで、あみがれみに訊く。
「そういえば、急上昇の時、スカートの中見えたりしなかったよね?」
この手のネタでツッコミを入れるのはれみだ。
「ふふ、すごいスピードだったからどうでしょうかね」
あみは気付かなかったが、れみはクスっと笑っていた。
あみがそのシーンが全国に配信されていたのを知ったのはその日の夜のことだった。
今回のライブシーン
前へ・表紙へ・次へ