第1章 再びプリ☆チャンデビューするんだもん

「まみ、聞いた?」
「何が?」
「プリズムストーンの新しいユニフォームコーデ、みらいさんがデザインしたんだって」
「そうなんだ」
「でも、やっぱり配信、ちょっと淋しいね」
「二人の存在の大きさを思い知ったのである」
「でも、いつかまた会う日まで、あたしたちのチャンネルを続けようって決めたんだし」
「うむ。今日もライブするのだ」

 あみとれみが元のプリパラの世界へ帰ってから、ゆみとまみは二人でチャンネルを続けていた。
 とは言っても、二人が去って数日しか経っていないのだが。

 ゆみたちは配信のため、プリズムストーンに入った。無料レンタルのレッスン着の代わりに新作ユニフォームが置いてある。
「えっ?新ユニフォームって無料?」
 驚くゆみたちに店長が説明する。
「最近できたディアクラウンにお客さん取られてね。ま、一種のテコ入れね」
「なるほど」

「でも、このコーデかわいいのである。気に入った」
「じゃ、今日はこのままライブしようか」
「うむ」

 二人がライブを始めようとしたとき、なんとなく懐かしい違和感が二人を貫いた。

「?」
「まさか?」
「気のせいだよね」

* * *

 その頃、ゆうきとさなえは見慣れないストリートに立っていた。

「何?」
「えっと…ここどこ?」

「あっ、かわいいを発見しましたぁ!」
 突然声がして、二人は振り返った。
 いや、発見って…かわいいのはアンタだろ、とツッコみたくなるようなかわいいコが、問答無用で自分の似顔絵のハート型のシールを二人の額に貼り付けた。
「かわいい向上委員会の金森まりあですぅ」

 どうやら、一年前のあみたちのように二人はこの世界に来てしまったようだ。
「まりあ、かわいいお二人とライブしたいですぅ」

「どうする?」
「とりあえず、この人についていってみよう」

 二人はまりあと一緒に配信スタジオのあるショップに入っていった。
「他には、すずちゃんってかわいいコもいるんですけど」
「はぁ」
「すずちゃんの「す」はかわいいの「す」なんですぅ」
 いや、「かわいい」のどこにも「す」はないんだけど。
「コーデはどうしますか」
「あ、さっき買ったのがあるんで」
「わぁ、このコーデもかわいいですぅ」

 ゆうきたちは、ほとんど勢いでまりあとライブをした。

 ライブを終えた二人のところに、ピンクの髪の小柄な女性がやってきた。
「まりあちゃんのお友達かな」
「さっきそこで出会ったんですが…」
「良かったら、うちのアイドルになりませんか?」
「えっ?」
「あ、私、ここディアクラウンの店長です」

 ゆうきとさなえは顔を見合わせた。
 そういえば、あみたちも配信スタジオのあるショップでバイトしてたんだっけ。
 いつ帰れるかもわからない。話にのってみよう。
「では、お話、聞かせてください、店長さん」

* * *

 その二つのライブ配信がそれぞれのモニターで流れている。
 複数のモニターのある部屋で、一人の少女が座っている。目が前髪で隠れてその表情は読めない。

 そして、その二つのモニターの間にあるモニターに、数日前に配信されたライブが流れている。
 左のモニターにいるゆみとまみ、右のモニターにいるゆうき。そしてあと二人。

 あみとれみが去る前の最終ライブだった。少女の口元が少し笑った。

 彼女は、キラッCHUを象ったクッションの上にあった右手を挙げ、目の前のキーボードのエンターキーを押した。


今回のライブシーン
   
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