エピローグ
「いよいよ、お別れの時なんだね」
あみ、れみ、ゆみ、まみの四人は扉の前に立っていた。
「嬉しいんだか悲しいんだかわからなくなってきたよ…」
「ほぼ一年の間だけど、色々楽しかったね」
「扉が開くまで、あと5分。そして、二つの世界が繋がるのは54分37秒よ」
時子さんが言う。
「異世界だけど、あみの置き土産のあの枕使ったら、夢で遭えるかな?」
「うん。きっとね」
「さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束、だもんね」
「だから、泣かないよ。笑ってさよならするね」
扉が開いた。
「今までありがとう。元気でね」
四人の声が見事にハモり、あみとれみは扉の中に消えた。
* * *
ゆうきは蕎麦屋でざる蕎麦を食べ終わり、おにぎりの最後の一口を食べようとしていた。
この店のおにぎりはごはん一膳分のジャンボ海苔巻きおにぎりで、醤油かかがたっぷり入ったもので、食べやすいように半分に切ってある。
「うん。このお蕎麦屋さんは蕎麦もおにぎりも最高」
* * *
あみとれみは商業施設の2階にいた。ちょうど、あのシステムエラーを経験した場所だった。
「懐かしいね。やっと帰ってきた」
「そういえば、ゆうきはここの地下のお蕎麦屋さんにいるってメール来てましたね」
「れみ、今、何時?」
「まさか…」
「あと48分ある!」
二人は階段を駆け下りた。
* * *
ゆうきがお茶の湯飲みを持った瞬間、あみとれみが店に入ってきた。
「あ、あみにれみ。実はさっき、プリ☆チャン会員証を作って…」
「えっ、ラッキー。好都合!あとで説明するから、お勘定してついて来て!」
「?」
ゆうきはとにかく二人に連れられて二階に上がった。その過程で、超大まかな説明を受けた。
「あみ、いまいち事情が…」
二人は問答無用でゆうきの手を引いたまま扉に飛び込んだ。
* * *
「あみたち、あっさり行っちゃったね」
「まぁ、ギリギリまで話してて帰りそびれてもいけないので仕方ないのである」
ゆみとまみがそんな話をしていると…
「ゆみ、まみ!ゆうきを連れてきたから、最後のライブ、5人でやるよ!」
「あみ…そのためにすぐ帰ったの?」
「ほら、あと42分あるから!」
「あ、はじめまして、ゆうきさん。あみ達から聞いて、お会いしたかったです。あたし、ゆみと…」
「まみです。詳しくは戻ってからあみ達に聞いてくださいね」
「とりあえず、うちのチームメイトがお世話になったみたいですね。御一緒できて光栄です」
「じゃ、急いでライブ配信の準備しよう」
そして、本当のファイナルライブが始まる。
「みんなの気持ちをリズムに乗せて」
「ハッピーなプリ☆チャン」と、れみ。
「ミステリーなプリ☆チャン」と、まみ。
「最高のプリ☆チャン」と、ゆみ。
「キュートなプリ☆チャン」とゆうき。
そして最後にあみが、
「元気なプリ☆チャン」
「オン・エアー!」
(Fin)
今回のライブシーン
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