第36章 ネクストプリンセスをめざしてみた
「さて、ウレチケはゲットできたけど」
「他にゲットできたのはミラクル☆キラッツだね」
「キラッツはスクールガールコーデかな」
「わたし達も3色持ってるよね。合わせて対戦しようか」
あみの提案にゆみとれみが顔を合わせた。
「あれ、私、まだ着てないかも」
「うん」
センター以外でエントリーするにも、一度は着ておかなないといいパフォーマンスは期待できない。
ゆみとれみは解散後、二人でコーデを着てライブをし、ふと掲示板を見た。
「大会アンコール?」
これまでの大会の課題曲に再挑戦し、優勝者のいいねを超えたら表彰台に立てるというイベントらしい。
「じゃ、あたしたちが参加できなかったサマーメイド大会やハロウィン大会のトロフィーや賞品をゲットできるチャンスじゃない?」
「いや、ハロウィン大会はおしゃマトリックスのドッキリだったし、対象外みたいですよ」
「そりゃそうか。あの欲しくないコーデは確かにいらないね」
「へぇ。さっそく挑戦しないとね」
翌日、話を聞いたあみはれみの肩に手を置いて言った。
「え?私がセンターですかぁ?」
「だって、最初のスペシャル大会はわたし。シャイニーフレンズ大会はゆみ、ウインタースペシャル大会はまみが表彰台だったし」
「あ、そうだね。れみは表彰台、まだだったんだね」
「最初は、今のネクストプリンセス大会の決勝のつもりだったけど、それまでにチャンス到来だね」
れみ達はさっそくエントリーした。そして、意外とあっさりとミラクル☆キラッツのいいねを超えた。
「さて、判定のキラッとボタンが…」
なかった。
「そういえぱ、最初のスペシャル大会で、ゆみがたまたまキラッとチャンスになっただけで、判定でやるのは最近だもんね」
とりあえず、れみも晴れて表彰台経験者となったのだった。
「そういえば、他の大会でわたし達も倒されるのかなぁ?」
「当時のいいねを超えればそうなるね。でも、トロフィーとかは別に返さなくてもいいみたいだけど」
「今のわたし達もあの頃の自分たちを超えられてるのかな…」
「あら?」
話をしていると、テーブルの脇にUSBメモリが落ちていた。
「忘れ物かな?」
「じゃ、スタッフの人に届けよう」
USBを届けて、あみが何気にツイッターを開くと、
「あれ?つぼみさんのツイート…」
つぼみさんのUSBが行方不明らしい。
「それっぽいUSBなら、さっきスタッフさんに届けておきましたよ」
暫くして、返信に返信が。
「電話で確認しました。ありがとうございました!あー、私ってドジ…」
あみが返信するより早く、横レスの返信が入る。
「かわいくてドジっ子って、萌えキャラですね」
エルザさんからだった。
「フォローなのかツッコミなのか…」
「うーん、あの人らしいコメントといえばそうかもしれないけどね」
そうこうしているうちに、いよいよ本戦が始まった。
最初はメルティックスターとの対戦だ。
「ミラクル☆キラッツとも決着をつけたいし、本気でいきますわよ」
あんなの気迫はすごい。
「このステージなら、きらびやかなドレスだね」
「ゴージャスパールコーデとかはどうかな」
「いいかも。意外と動きやすいんだよね」
「そうそう。スカートがモコモコしてなくて軽いんだ」
「決まりだね」
かなりの接戦だった。キラッとボタンを押して結果を待つ。
勝った!
「危なかったね」
「やっぱり、スカートが軽くてダンスも決まったよね」
「大きく翻るから、あみは時々出る脚でセクシーさを演出してたよね」
「えーっ?脚出てたの?」
そんな話をしていると、あんな達がやってきた。
「さすが…ですわね。ここまできただけはありますわ」
「あんなさん…」
「もとより、ワタクシたちはアンジュさんとの直接対決にふさわしいチームがあるなら、辞退してもいいと思っていましたわ」
「…」
「アナタ達なら、あの黄色いのとかを倒し、直接対決できそうですわね」
…えもさんの事なんだろうな。
「ええ、全力でぶつかりますよ」
次の相手はミラクル☆キラッツだ。
相手のコーデは予想通り。こちらも同じコーデで挑むが、こちらはあみ、ゆみ、れみの3人全員色違いだ。
そして、二勝目。
「まけちゃった。あなたたちにすべてを託すよ」
「絶対、アンジュさんに想いを届けてくるね」
「うん。約束だよ」
そして、いよいよ直接対決だ。会場にはグラスを象った「いいね」を溜める容器が二つ並んでいる。先にいいねを満杯にすれば勝ちだ。
まずはアンジュが一人でステージに立った。こちらはあみが予選で勝ち取ったコーデで立ち向かう。
ライブが始まった。以前、まみと勝負した時と違い、今度はアンジュは本気を出してきている。しかし、あみも負けじとダンスを踊る。
両方の器にかなりの「いいね」が入ったが、いずれもまだ半分に満たない。
そして、2曲目はあいらが参戦し、最強ユニット、アイランジュとして立ちはだかる。
「次はデュオだね。どうしようか」
「ここは一度アンジュさんに勝ったことのあるまみがいいんじゃないですか」
「だね」
「コーデはどうしよう」
「この前ゲットした初音ミクのコスプレとか」
「伝説の歌姫対決かぁ。面白いかも」
そして、ライブが始まる。
ミラクル☆キラッツやメルティックスターのメンバーも観戦している。
「大丈夫かなぁ?最強ユニットだよ?」
心配そうに言うえもに、みらいが言う。
「あみちゃん達を信じようよ」
「そこの黄色いのみたいに弱気な事を言うなら、ワタクシ達が助っ人に入ることもやぶさかではありませんが…」
「その必要はなさそうだね」
あんなとさらも答える。
突然、6人が光に包まれる。ミラクル☆キラッツは純白、メルティックスターは真紅のドレスに包まれていた。
「これは…?」
伝説のピュアプリンセスコーデだ!
「しかし、なぜ対戦中のあみたちじゃないんだろうね」
ゆみがツッコミを入れた途端、6人から紅白の光が伸び、あみとまみを包んだ。
「届いて!ミラクル☆スター全員のパワーと想い!」
あみたちのコーデが変化を始める。
「どっちがどっちのコーデを着るのかな…?」
「…って、ええっ?」
二人とも、ドレスは純白、靴とアクセは真紅のミックスコーデだった。
「そうきたか…」
「二人とも、全員から想いを受け取って、お揃いにするとはね」
「まぁ、あの二人ならやりかねないか」
コーデチェンジしたことで、メインがまみに代わって、まみのコーデがキラキラし始める。
そして、それに呼応するかのように「いいね」が集まっていき…
器から「いいね」が溢れた。勝利だ!
「いい試合だったね」
「まだまだ終われそうにないわね」
アンジュも言う。
「じゃ、引退は…」
「もう少し先になりそうね」
「トッププリ☆チャンアイドルおめでとうございますわ!でも、まだまだ、終わりませんわよ」
あんなが言う。そして、提案する。
あみ達二人をメインに、1曲目はメルティックスター、あいらと、2曲目はミラクル☆キラッツ、アンジュと一緒にエキシビションライブをするというものだ。
オールスターキャストでのライブは大いに盛り上がった。
そして、それを見ている者があった。
「あそこが、ゆいが言ってたところかな?」
「すごくキラキラしてる!楽しみだな、ガァラるんるん」
このことで、事態は大きく変わることになるのだが、あみ達はまだそのことを知る由もなかった。
今回のライブシーン
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