第34章 バースデー前のやってみたアラカルト(後編)

#04 コラボライブやってみた

「そういえば、ゆみ、リラックマコラボのコーデって揃ったんだっけ?」
「確かに、欲しいって言ってましたね」
「一応、アクセ以外は揃ったよ」
「あれ?アクセなかったっけ…あ、あるよ」
「あるの?」
「ほら」
「やった!」

 というわけで、さっそくライブをすることにした。
「これまで、かわいい系コラボも結構あるし、全員バラバラでコラボコーデにするのはどうかな?」
 あみが提案する。
「で、あみは何にしたいのであるか?すみっコ?」
「うーん、久しぶりにあらいぐまラスカルがいいかな」
「うむ、力になろう。我がすみっコぐらしにするのだ」
「ということは、私は星のカービィということになりますね」
「れみ、いいかな?」
「はい。丸くてかわいいから気に入ってますし」
「じゃ、決まりだね」

 そして、いよいよ念願のリラックマコーデを着る。
「リラックマは要所要所のワンポイントなんだね」
「でも、かわいいですね」
「リュックがリラックマの形してる。かわいい!」
「ラスカルはなりきりだよね。耳と尻尾が萌えポイントだね」
「実際とは違うのに、しましまの靴下が合うのが面白いかも」
「私は後ろのフードにラスカルのぬいぐるみが入ってるところが面白いなって思いますよ」
「カービィやすみっコはにぎやかで楽しいよね」
 面白いコーデだけに衣装談義はつきない。
「背中が面白いから、見返りポーズのある「インフルエンサー」にする?」
「だね」

 そして、ライブが終わり、配信を見直し、見返りポーズのシーンで、
「あ…」
 あみのぬいぐるみや尻尾はいいけれど、ゆみは髪が長いので、リラックマリュックが半分隠れていた。
「うぅ…あたし、髪、切ったほうがいい?」
「いや、何もそこまでせんでも…」
「ターンの時は髪が翻って、ちゃんとリュック写ってましたよ」
「そうだっけ?」
「うん」
「じゃ、いいかな」
 ゆみはなんとか納得して、にっこり笑った。


#05 秘密のセレクションライブやってみた

 あみ達は雑誌を見ながら雑談していた。
「3月にホワイトデーライブ用の衣装が出るみたいよ」
「げっ、SRで3色?まだコラボもあるし、揃わないかも」
「でも、初音ミクの雪ミクバージョンのコスプレ衣装出てないし、チャンスではあるけどね」
「とりあえず、どれか一色優先を決めるのだ」
「そうだね。2択だったらこの色ってしたほうがいいかもね。じゃ、ミントはどうかな」
 まみの提案にあみが乗る。そこにれみがかぶせる。
「ははは、あみ、アイスをチョコミントのダブル頼むくらいですからね」
「いや、それもあるんだけど、ほら、バレンタイン前にやたらやってたCM」
「何だっけ?」
「バレンタインに男の子もチョコミントマカロンを贈ってみよう、ってやつ」
「あー、あったね。なみりーん☆さんの同級生のコが出てたやつだ」
 その時、あみの電話が鳴った。
「あ、もしもし…えっ?あいらさん!えっと、はい。大丈夫です。ちょうど全員ここにいますし」

「どうしたの?」
「今から、あいらさんとアンジュさんのセレクションライブだって。すぐ行こう!」

 そして、秘密の控え室。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
 そこには、あいらさんとアンジュさん。二人のレジェンド級がいる。
「久しぶりね、ガールズ達」
 アンジュさんはあみたちのことを覚えてくれていた。
「ところで、今回は一体どういう事なんですか?」
 あみの問いかけにアンジュさんが答える。
「私は、元プリ☆チャンアイドルのデザイナーであるあいらと出会い、プリ☆チャンアイドルになった」
「はい」
 それは有名な話だ。
「そして、私が後を託すことができるプリ☆チャンアイドルが出てきたら、私の憧れるあいらと同じ道に進むつもりだった」
「デザイナーを目指すために引退される、ということだったんですか…」
「今はミラクル☆キラッツやメルティックスター、それに、あなたたち。キラキラしたガールズたちがどんどん現れたわ」
「…」
「この中から、きっと、私を継いでプリ☆チャンをキラキラさせてくれるプリ☆チャンアイドルが出ると信じているわ」
「そこで」
 あいらさんが解説を加える。
「アンジュのセンスを見極める意味もあって、二人で選んだ10種類のコーデ。これを使ったライブを見せてほしいの」

 うーむ、責任重大だなぁ…しかし、受けた以上は全力を出す。
 まずはゆみが、
「すごく綺麗な服がいっぱい!あたしはこれにしようかな」
「ピュアプレミアムウエディングコーデね」
「我はこのクリスタルスノープリンセスコーデが気に入った」
 れみが一つのコーデに目を留める。
「あれ?これってあいらさんが現役の時に着ていたやつじゃ…」
「おっ、詳しいねそうだよ。れみちゃんはそれにする?」
 あいらさんはちょっと嬉しそうに言う。
「あわわ…こんな重要なコーデはうちのリーダーが着ると思いますので、私はこれで…」
 れみがあみにコーデを渡すと、なんとなく適当にコーデを取った。
「へぇ、れみちゃんってクール系が好きそうだけど、ポップ系もいけるんだね」
 れみが手にとったのはもぎたてオレンジコーデだった。
「あ、これはこれで、プリパラの神アイドル、らぁらさんとみれぃさんの伝説のヘアライブで使われた由緒あるコーデですし…」
 れみは意外とコーデの歴史に詳しいんだな…とみんな思った。
 けど、そういえば、エルザさんが言ってたやつだ。そのペアライブ。それに、元々あいらさんのファンだったはず。たまたま知ってただけか…

 とりあえず、こんな感じで1曲目が終わった。
 パシャリングは集合写真の後はセンターのゆみのソロショットだ。
「アンジュさんが以前、やってみたで乗ってたし、ブランコ使おう」
 ユヅルさんは気のきいたスタジオを用意してくれた。
 いい感じの写真が撮れ、ユヅルさんが
「いいね」
 と言った時、ちょうどスタジオが回りアングルが変わった。
「ちょっとゆみ!見えてる見えてる!」
 一同あわててゆみを止める。
 ウエディングとはいえ、元はスケートでジャンプするプリズムショーの衣装なので、スカート丈は意外と短い。
「危ない危ない。また変態カメラマンとか怒られるところだったよ」
「あたしこそ、この丈だと注意して乗らないとね」

 さて、残りは6コーデだ。あいらさんが、
「次は、オープン前のタワー屋上ステージでやるよ」
「えっ?」
「だって、コーデは6つ。次の曲は6人要るでしょ」
「えっ?」
「私とアンジュも入って、みんなでやろう」
 レジェンド二人とライブ。でも、秘密のライブなのがいささか残念ではある。
「それじゃ、ガールズ達。みんな、コーデチェンジしてね」
 アンジュさんがそれぞれにコーデを渡す。
「れみちゃんは色白だから、純白の翼コーデ」
「まみとゃんにはトライアングルクーレストコーデ。プルーが濃いから、映えるはず」
「あみちゃんはスターリィライトパープルコーデがいいわね。小麦色の肌だからレースの透け感が健康的な色気を引き出してくれるわ」
「そして、ゆみちゃん。今は気付いていないかもしれないけど、あなたの中にはキラッとしたものがあるわ」
「えっ?」
 アンジュさんの指摘にドキッとする。そういえば、以前にもこの世界のプリズムの煌きの中心と言われたことがあった。
「だから、あなたにはこのコーデを」
「…これは、伝説のパラダイスコーデ!」
 そう、それはコーデの声に耳を傾け、コーデの真の魅力を引き出してみよという二人からの課題だった。

 結果としてすごく豪華なライブとなった。広く配信は出来ずとも、いい経験にはなった。
「四人ともお疲れ様」
「でも、これで気持ちがすっきりしたわ」
 アンジュさんはそう言った。果たして、それは何を意味するのだろうか?


#06 バースデーサプライズライブやってみた

 その日はあみとれみの誕生日。
「誕生日おめでとう!」
 わちゃわちゃ会でもゲストがお祝いをしてくれた。
「まもるさん、来てくれてうれしいです!」
「エルザさん、遠くからありがとうございます」

 いよいよバースデーライブだ。
「じゃ、プレゼントしてもらったグミのコーデでライブだね」
「主役二人はがおがおふぁいがーコーデで、あたしとまみはそれぞれRコーデかな」
 ゆみが提案する。
「でも、ボトムスはシークレットが黒ベースでかっこいいですね。私はボトムス変えようかな」
「あ、それで二人並ぶといいかも!」
「じゃ、決定!」

 そして、ライブが終わると、ゆみがあみにポケットアルバムを渡す。
「あれ?これはわたしのドリチケ入れ…?」
「あみ、我々にコレを貸すのだ!」
 まみとゆみがドリチケを取り出す。
「あ、ドリームシアターのバースデーライブ用のコーデ!」
「寝ても覚めてものステージでパーティーライブしよう!」
「いいけど、あれは3人用…」
「やってみたのタイミングで主役交代でやればOKじゃない?」
「うーむ、主役が忙しいなぁ…でも、折角だしやってみよう」
 やってみたものの、れみは何か引っかかるようだった。
「れみ、どうした?」
「せっかくこのコーデ着ても、私のパートにあみがいないの、ちょっと淋しいかなって」
「確かに、わたしもれみと一緒にやりたかったかも。このコーデで4人ステージにリベンジしたいな」
「それもそうだね。あたしの選曲ミスだね。背景につられちゃった」
「ううん、あれはあれで特別な感じで良かったんだよ」
 なんだかんだで、みんなでわいわいとライブするのが楽しいだけだったりするのだが。

 バースデーライブを終えて、4人はみらいの店へ予約していたバースデーケーキを引き取りに向かおうとしていた。
「みらいさん、キラッCHUのトッピング、サービスで追加してくれるって言ってたよね」
「かわいいケーキになりそう。楽しみだね」
 そんな話をしながら、ふと街頭ビジョンのスクリーンに目をやる。
「あれ?アンジュさんとあいらさん?」
 二人がライブをしている。
「あれ?アンジュさん、気持ちがスッキリして、引退やめたのかな?」
「だといいけど・・・さっきの拍でアンジュさん、「さよなら」って言った気が…」
「そうなの?あたしには判らなかったよ?」

 曲のあと、アンジュさんが言った。

「これは、私のラストメッセージです」

 えええーーーっ!どういうこと?


今回のライブシーン
                         

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