第31章 らぁら、ゆいと共演してみた

 メルティックスターセレクションライブ終了後、実際にみんなで定食を食べに行った。
 あみは予告通りチキン南蛮定食、めるはいかリングの入ったミックスフライ定食。他のメンバーも各々食べたいものを注文した。
「あみ、今日はあれをしちゃダメですよ」
「うぐぅ…。でも、いつもやってるわけじゃないよ」
「あれって?」
「ここ、ごはんおかわり自由でしょ」
「うん」
「あみったら、この前、おかず全部食べた後で、お味噌汁にごはん入れて、それをおかずにごはんをおかわりしたんですよ」
「それって、ごはんおかずにごはんだよね」
「確か、『アイドルタイムプリパラ』でゆいがそのネタしてたはずである」
「そういえば、本人がこっちの世界に来たんだよね」
 そんな話をしながらの食事が終わって、あみたちはメルティックスターのメンバーと別れた。
「みんな、このあとの予定は?」
「私はわちゃわちゃ会のお誘いがありますね」
「我は新刊を買いに本屋へ行きたいのである」
「あたしも寄りたいところあるし、解散かな」

 解散してすぐ、あみはスマホを取り出した。
「認定会は・・・やはりもう終わってるなぁ」
 することもないので、ふとのぞいた店でプリチケファイルを見つけた。
「あ、新しい柄!ついてるコーデも可愛いなぁ」
 色違いを持っているコーデだったけど、新色が気に入ったので、あみはファイルを買って、そのコーデを使いがてら、ソロライブでもしようかと配信スポットへ向かった。

「あ、あみちゃん!ユメまた会ったね」
 そこにはゆいがいた。噂をすればというやつだ。
「らぁらさんには会えた?」
「ユメまだ…」
「じゃ、わたしとライブしようか。一度、この世界のコーデを使ってみる?貸すよ」
「いいの?ありがとう」
 あみはゆいにさっき手に入れたコーデを貸した。何かの縁のような気がした。そして、自分はもともと持っていた色のものにした。ちょうど、紫と黄色なのでお互いに映える。

 ライブが終わると、ゆいが気付いた。らぁらがいた!

「らぁら!」
「ゆい!」
「やっと会えてよかったね」
「ありがとうのかしこま☆」
「ありがとうのゆめかわ☆」
「プリ☆チャンライブ、すごいね」
「二人でやろうか」

 そこで二人が気付く。
「そういえば、会員証がないんだ…」
 あみがゆいに会員証を渡す。ロギねさんがゆみに使う方法の応用で、あみの会員証でゆいがライブすることが可能だ。

 こうして、あみたちのチャンネルで、ついにメンバー不在のライブが配信されることとなった。それも、伝説の神アイドル・らぁらがプリパラのパパラジュクで、大会の実施をかけて行ったゆいとのペアライブの再現ライブだ。
 そして、出てきたプリチケは、なんと「当たり」だった。
「ありがとう。このあたり券はあみちゃんのものだよ」
「なんか、いいのかな?」
「あみちゃんの会員証でのライブだもん」
「今度は一緒にライブしよう!」
 3人でライブをしたところで、らぁらたちが思い出す。
「そういえば、あたしたち、プリパラの世界にかえらなきゃ」
「どうすればいいかな」
「難しいライブにチャレンジしようか」
 こうして、ライブをしてみるうち、らぁらやゆいが使っていたコーデやプニコンのぬいぐるみも手に入り、追加でお買い物でメルティックスターチームサイリウムの通常カラーのシューズも手に入った。

「あれ?」
 二人の体が一瞬透き通った。
「元の世界に帰る前触れかも!

 …わたしも一緒にライブしたのに帰れないのかな?
「ねぇ、あみちゃん。この前の友達にも最後に会いたいな」
「うん。ちょっと待って。みんな、そんな遠くにはいないから」
 あみは三人を呼んだ。幸い皆そう遠くへは行っておらず、すぐに集合した。
「みんなのおかげで、ゆいにも会えたし、元の世界に戻れそう。ありがとうのかしこま☆」
「お礼に、あたしたちの最高のライブを届けるね。ゆめかわ☆」
 プリパラのパラジュクの神アイドルのらぁら、アイドルタイムプリパラのパパラジュクの礎を築いたアイドルのゆい。
 プリパラ界のアイドルの双璧によるライブに、かなりのギャラリーも集まってきた。アンコールに応えて、この世界に持ち込めたコーデでのソロライブも披露し、すごい盛り上がりを見せた。

 このライブに向けられた膨大な「いいね」を受け取り、二人の帰還が迫った。
「次が最後のライブだね」
「最後の思い出に、あみちゃん達と一緒に6人ライブしたいな」
「かしこま!」
 あみ達はらぁらのキメ台詞で応えた。全員でらぁら、ゆいの持ってきたコーデでライブだ。

 ライブが終わって、らぁら達は光に包まれ始めた。
 二人がフォロチケをパキる。アンコールのソロライブをしたので人数分ある。
「あなたたちをフォローします」
「いつか、またどこかで」

 二人は光の中に消えていった。無事、元の世界に戻ったのだろう。
「あ…」
 手にしたフォロチケも光の中に消えた。
「フォロチケも消えるんだ…」
「残ったのは思い出と…」
「配信の動画は残ってるみたいね」
「それより、わたしとれみが残ってる」
「そういえば、二人はプリパラの世界に帰らなかったね」
「なんでかなぁ…」

 そんな話をしていると、横からリアクションがあった。
「二人が残ってくれて、ラウラ☆はうれしいよ」
「ラウラ☆さん?」
 エルザさんの仲間の一人、ラウラ☆さんだった。
「にじのエルザたちもいるよ」
 エルザさん、せと☆君、メロディー☆さんもいた。
「お久しぶりです」
「あれ?せと☆君も髪型変えたんですね」
「似合いますか?」
「うん。しかし、かわいくなりすぎるのは反則だよ?」
「まぁ、『男の娘』だってかわいくなりたいよね」
「…別に、かわいいって言われたいんじゃないからね」
「あ、またいつものツンデレが始まった」
「ラウラ☆!ツンデレ言うなーっ!」
「挨拶はそのくらいにして…」
 エルザさんは冷静だ。このノリに慣れているんだろう。
「なかなか、すごいライブでしたね。伝説の神アイドルのライブをこの目で見れるとは」
「ていうか、なぜ皆さんここに?」
「帰る前に、チームキラッとコーデ合わせでライブしようとしたら、ラウラ☆がこのライブを見つけてね」
「なるほど」
「でも、らぁらのペアライブなら、本当はもっと見てみたいものがあったのだけれど、さすがに贅沢ですね」
 エルザさんが感想を述べる。
「どのライブですか?」
「私が最も見たいのは『まーぶるMakeUp Ahaha』なんです」
「それって…」
 ゆみが反応する。
「そらみスマイル結成前のらぁらとみれぃのデュオ!めちゃめちゃレアなやつですよね」
「テレビで見たとき、しびれました。私がこの世界に踏み込んだきっかけの一つと言っても過言ではありません」
「確かに、あの二人は相棒って感じだったですよね!」
「ところで、さっき、チームキラッとコーデ合わせって言いました?」
 突然、あみが話題を戻す。
「言いましたけど…」
「わたし達も手に入れました。4人と4人ですけど、らぁら、みれぃに負けないような4倍ペアライブ、やりませんか?」
「あみ…またとんでもないことを…」
「でも、面白そう!やりましょう」
 ツッコミを入れようとするゆみをメロディー☆さんが遮って承諾する。
「でも、一度にライブできるのは6人だよ」
 せと☆君の指摘に、あみは手で垣根を作りながら、
「そこは、シャッフルユニット×2で。ここからがAチーム、そちらがBチームでやりましょう」
 適当な線引きで、Aチームであみ、まみと組むのはせと☆君とラウラ☆さん。Bチームはエルザさん、メロディー☆さん、れみ、ゆみになった。
「同じ曲をやって編集したら8人ライブみたいにならないかな」
「じゃ、変わったと判りやすいように、Bチームは私とゆみは色違いで2色でいくのはどうでしょう」
 れみが提案する。
「どんな結果になるか判らないけど・・・」
「判らなかったら、やってみよう!」

 とりあえず、2チームでライブを配信した。
「編集するの?」
「いつか、出来たらやるかも」
「まぁね。楽しかったし、このままでもいいし」

 そんな話をした後、エルザさん達は帰っていった。
「ところで…」
 あみが3人に向き直る。
「どうしたの?」
「誰か、動画編集できる人いる?」
「あっ…!」

 とりあえず、メンバーは動画編集の勉強をしようかと考え始めたのだった…


今回のライブシーン
                       

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