第11章 プロデューサーやってみた
「そういえば、ふと思ったんだけど…」
「何?唐突に」
ゆみの発言にあみがきょとんとする。普段、唐突なのはあみだが、今日は逆だ。
「この前から知り合った人たち、けっこう大人数のチームだったりしない?」
「確かにね。まもるさん達も6人、ぺんちゃん★さんも9人だし」
「あ、まもるさんのチーム、たまに参加の助っ人さんもいるみたい。この前は大食い大会と重なったので居なかったって、わくと君が言ってたよ」
「え、そんな大会あったんだ…わたしも行きたかったなぁ」
「…反応するのそっち?」
「あみは食いしん坊枠ですからね」
あみとゆみのかけあいにれみも参戦する。
「そういえば、まいまいさんもチーム活動してるような事言ってましたよ」
「確かに、歌ってみたのオリジナルの乃木阪46とかも大人数だね」
これまでテレビを見て、話に参加していなかったまみが、
「テレビを見てみるのだ。ちょうど大人数グループが出ているぞ」
テレビには15人のグループがライブしている画像が流れ、トーク画面に切り替わった。
「あ、このグループ、「ときめきアイドル」だっけ。このグループって、中高一貫高のアイドル科の生徒のユニットだよね」
「そうそう。今しゃべってるみさきちゃん、子役の時、すごく可愛かったなぁ。もう中学生か…」
「え?今でも可愛いと思うけど…」
と言いつつ、あみはそのアイドルの発言に何かを感じた。
「うちの学校のプロデューサー、指導は的確なんですけど、休み時間にチョップしてきたりするんですよね」
「そうそう。いきなり談話室に呼ばれて、いきなりたい焼きを10個差し入れしてくれたり」
「全員分の15個ならいいのにね」
「みさきちゃん、みんなに配ったの?私はその場で全部たべちゃったけど」
「小幸村さんは食べすぎです!」
「ねぇ、今の話で思ったんだけど…」
あみの問いかけに、ゆみがトンチンカンに返す。
「うん。ここって、2人から4人でユニットCD出してる割には、テレビにはバラバラの5人で出る事多いよね」
「キュウレンジャーみたいですね」
「そうなの?」
「あの戦隊、9人の救世主、隊長、見習い、先代の生き残りの12人で毎回抽選した5人が出動するんです」
「へえ、面白いね。今もやってるのかな」
「今の戦隊はルパンレンジャー対パトレンジャーってのになってますよ」
なんか、れみがどんどん話の方向を変えていく…
「あの!閑話休題!」
あみが無理矢理話を戻す。
「あ、そういえば、何の話だっけ」
「テレビに出てる人たちって、プロデューサーさんがいるんだよね」
「言ってたね」
「わたし達ってプロデューサーいないよね」
「各自がプロデューサーみたいなものかも」
話題が戻ってから、スマホをいじっていたれみが、
「アイドルのプロデュースで、面白い掲示板を見つけました」
その掲示板は、アイドルをプロデュースする人を募るものだった。
「なになに、シェアキャラ『ロギね』です。みんなで私をプロデュースしてね、だって」
「掲示板のみんなのプロデュースで進化を目指してるってことみたいね」
「うーん、色んな生き様のアイドルがいるんだなぁ」
「じゃ、さっそくわたし達も参加してみようよ」
あみがいきなり掲示板に投稿した。
「うわ…行動、早!」
「こんにちは」
すぐに掲示板の主のコが入ってきた。スイートドーナツコーデを着たままだ。
「来るのも早…」
「いや、たまたまこの近くにいたから…投稿してくれた人ですよね」
「はい」
「みんなでプロデュースって、面白いことに挑戦しているんですね」
「プロデューサーが変われば、私はどんどん変化するし、どんな変化をするか、自分にも判らない。ワクワクします」
ロギねさん、なかなかチャレンジャーだな…
「確かに、私のことを邪道とか言う人もいるんだけど、それよりたくさんの人が育ててくれてるから、そのことが私のパワーの源です」
「わたしは面白いと思いますよ。ロギねさんの生き方」
「そうですか!嬉しいです」
「では、さっそく」
「へ?会員証?」
ロギねさんはいきなり自分の会員証を近くにいたゆみに渡す。
「それでログインして、普段通りライブすればいいんです」
「よく判らないけど…わかった」
「とりあえず、いきなりで用意ないから、普通の私服でいいかな」
ゆみが預かった会員証でログインし、私服コーデを選ぶ。
オンエアーが始まると、選んだ私服姿のロギねさんがゆみの代わりにいた。
そして、そのままライブが始まった。
「なかなか面白いライブになったね」
「今回のことで、私は私服はこんな感じの服も好きです、みたいな設定が加わりました」
「なるほど」
「次にお会いするときは、どんな私になってるか、楽しみにしていてくださいね」
「あ、だったらフォロチケ!」
あみが言うと、
「あ、そうですね。投稿してくれたのはあみさんでしたね。フォロトモになりましょう」
ロギねさんは今回のライブで作られたフォロチケをあみと交換し、去っていった。
「今回のゲストは変化球で楽しかったね」
「掲示板のマドンナとの競演なんて、いい記念になりました」
「だね。ロギねさんの歴史の1ページに残るんだね。わたしたち」
三人が感想を述べ合っていると、
「なんか、ログインした筈のあたしだけ蚊帳の外じゃない!」
ゆみがつっこんだ。
今回のライブシーン
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