五 竜 岳 ごりゅうだけ(2814m)No.46

登 山 日 2005.08.09
コ ー ス ―猿倉〜白馬岳・唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳〜扇沢(2泊3日縦走)―

【第2日目】
天狗山荘(テント泊)5:30〜天狗ノ頭(2812m)5:50〜鞍部(2411m)6:40〜不帰キレット・一峰・二峰北峰、南峰(2614m)8:12・三峰〜唐松岳(2696m)8:55〜唐松岳頂上山荘9:20〜五竜山荘(2482m)11:25昼食11:50〜五竜岳(2814m)12:45〜八峰キレット・キレット小屋15:50(素泊)

 【第1日目】(8/8)白馬岳へ
猿倉〜白馬尻〜大雪渓〜葱平〜お花畑〜頂上宿舎〜白馬山荘〜白馬岳〜杓子岳〜鑓ヶ岳〜鑓温泉分岐〜天狗山荘(テント泊)
 【第3日目】(8/10)鹿島槍ヶ岳へ
キレット小屋〜八峰キレット〜鹿島槍ヶ岳〜布引岳〜冷池山荘〜赤岩尾根分岐〜爺ヶ岳〜種池山荘〜柏原新道登山口(扇沢)
所要時間 10時間20分
天   候 霧のち晴れ
メンバー 単独

 午前4時、天狗山荘のテン場で目が覚めて、テントのファスナーを開けると濃い霧が立ち込めていた。昨夕は雨が降っていたが、夜更けには星空も見えていた。天候が回復することを祈りながら、お湯を沸かして朝食をとって、濡れたテントを撤収する。小屋前の雪田でボトルに水を満たし、霧の中を出発したのは5時30分だった。小屋から少し登ると稜線に出て、約20分で天狗の頭に到着。昨日は重く感じたザックも、身体が慣れてきたのか、それほど苦にはならない。天狗背稜といわれる尾根を、さらに25分進むと天狗の大下りの始まりで、ガレの急坂を一気に300m降下する。


天狗の頭

ガレの天狗の大下り

不帰の峰々をを望む

 浮石の多い急斜面を落石を起こさぬように慎重に下り、途中のテラス状になった場所で休憩する。この頃には霧も晴れてきて、行く手に唐松岳・五龍岳・鹿島槍ヶ岳、右側に剱岳・立山の峰々、そして稜線の遥か先には槍ヶ岳も望めるようになった。カメラを構えていると、昨夜テン場で一緒だった青年3人組が追い付いて来て、嬉々として岩稜を行く若さを羨ましく思う。この後は、彼らと前後しながら五竜岳方面を目指すことになる。鞍部から稜線伝いに登返すと、不帰一の頭。少し下り滑落注意の標識を見てから、クサリ・ナイフエッジ・梯子と切立った岩肌を登って行くと不帰二峰の北峰である。


大下り最終部分から鞍部

鞍部から登り返すと不帰一峰の頭

一峰と二峰の鞍部にあった標識

 北峰への道は、高度感のある切立った尾根を行き、「アルプスに来た」という感じが湧いてくる。しかし、すれ違いが困難な狭い道で、前方からの登山者を幅のある場所で待ちながら進んだ。そして、次のピークが不帰二峰の南峰で、平坦な頂上は安心感があって、前方の不帰三峰と唐松岳を眺めることができた。さらに小刻みなアップダウンは続き、次のピークまでの距離が長く感じたが、8時55分に唐松岳山頂へ到着した。休憩を終えて比較的緩い斜面を下ると、山肌に貼り付くように唐松岳頂上山荘はあって、左から八方尾根・右からは祖母谷温泉からの登山道が合流する。


二峰北峰への尾根

ハシゴで岩を乗越える

二峰南峰でホッと一息

 昨日、天狗山荘から進むのを断念するまでは、猿倉からここのテン場まで来る予定だった。しかし、天狗山荘から3時間50分かかっていて、あのまま強行突破していたなら17時15分の到着である。これは何事もなかったらの話で、また昨日の天候ではさらに遅くなったとも考えられ、前進断念は正しい選択だったようだ。小屋を過ぎてすぐの「牛首」という岩場で、大学のワンゲル部の女子一行約10名に追いついて、大きなザックを背負った彼女たちと挨拶を交わしてパスする。普通なら「こんな場所で邪魔・・・」と心の片隅で思うところだが、若さはいいものである。後から来る青年3人組が、彼女たちをパスするときの顔を想像すると、ニヤケ顔になってしまった。


右側には剣・立山の峰々

唐松岳

唐松岳山頂

 正面に五竜岳を見ながら、稜線上のガレ場とハイマツの道、いくつかのピークを捲いて進むが、不帰の峰々を思えばはるかに歩き易い。登り基調になって、ピークを1つ越えると遠見尾根分岐・白岳のピークである。すぐ下に五竜山荘があって、裏側から廻り込むようにして小屋へ到着した。小屋前のベンチで昼食を作っていると、程なく青年3人組も到着してワンゲル女子御一行や山岳レース・アドベンチャーレースの話題で盛り上がった。ここのテン場泊まりという彼らと、いつまでも話していたかったが、五竜岳・キレット小屋へと先を急いだ。


唐松岳頂上山荘

五竜岳

五竜山荘

 小屋から五竜岳への登り返しは、足場はシッカリしているが勾配があって心拍を一定に登らないと辛いく、急ではないが緩くもないチョットやらしい登りだった。「五竜山荘・八峰キレット」の標識前で休憩する登山者を見て、西へ少し行くと五竜岳山頂があった。三角点と並んだ黄色い山頂標柱は、新しいのにヒビが入って文字の部分は黒く煤けて、不思議な姿をしていた・・・。ここから先は、難所というイメージのある、八峰キレットである。事実、G4・G5という険しい岩峰が続くが、クサリやハシゴが整備されて浮石も少なく、慎重に進めば問題なく思えた。


五竜岳山頂の標識・・・

八峰キレット

キレット小屋

 G5を過ぎると、比較的平坦になって、北尾根の頭(2560m)に到着。ここから口ノ沢のコル(2416m)まで下り、急坂を登り返すと再びクサリやハシゴが現れて、高度感のある尾根歩きになった。縦走後に、不帰瞼と八峰キレットの違いは?と聞かれたが、不帰は浮石と高度感で「危ない」・八峰は高度感で「怖い」という感じだろうか?。ハシゴを登り、手掛かりのない岩を越え、右に落込んだ岩場をクサリを頼りに進むと、霧の中にキレット小屋が現れた。

 キレット小屋は、鹿島槍ヶ岳手前の八峰キレットの狭い鞍部にあって、よくこんな場所に小屋を建てたものだと思う。早速、素泊まり(6100円)でチェックインして、小屋前のベンチに座り、他の登山者と缶ビールを開けた。自炊で食事の注文はしなかったが、夕食はハンバーグライスと豪華で、分けてもらった水も美味しかった。今朝、稜線上の小屋へ荷揚げする、ヘリが飛んでいたのを思い出した。