ねえ触ってよ 10











「…佐助?」

「何?小十郎さん」

「……嫌な夢を見た
…お前が死んじまう夢だ」

「…そう」

「良かった…
全部、夢だったんだな…」

「……そうだね」

「……佐助、愛してる」

「うん、俺もすごくすごく、愛してるよ」

「…ははっ、何だか照れるな」

「そうだね」

「…愛してる
ずっとずっと、お前を愛してる」

「…あははっ、うん!
ありがとうね、小十郎さん!」

「何泣いてんだ」

「だって、嬉しくってさぁ」

「馬鹿だな、これくらいこれから何回でも言ってやる」

「…ありがと、小十郎さん」

「佐助、ずっと俺の側に居ろよ」

「えー、俺様真田の旦那の忍だからなぁ」

「…そこは嘘でも頷けばいいんだよ」

「小十郎さんに嘘は吐きたくないの!」

「…馬鹿野郎」

「ふふっ、ごめんね?」

「別に、構いやしねぇさ」

「…ねえ、もしもだよ?
もしも、その夢が本当になっちゃっても、俺様のこと待たなくていいからね」

「…縁起でも無いこと言うな」

「もしもだって!
…今までずっと、小十郎さんは俺のこと待っててくれたでしょ?
だから今度は、俺様が小十郎さんを待っててあげる」

「…俺は政宗様が天下を取るまでは死なねぇぞ?」

「うん、いいよ
いっぱい生きて、おじいちゃんになるまで来ちゃダメだからね!」

「お前も、そう簡単に死ぬんじゃねぇぞ?」

「…うん
…ねえ、いっぱい幸せにならなきゃダメだよ?
見えない俺のことなんて待ってなくていいんだよ」

「……佐助?」

「ああ、俺もう行かなきゃ」

「……行くな、佐助」

「どうしたの?
そんなこと言うなんて珍しいね」

「……今日だけは、側に居てくれ」

「…ごめんね?」

「…いや、悪い」

「…ねえ、愛してるよ小十郎さん!
ずーっと、小十郎さんの幸せを願ってるよ!」

「…何だ、いきなり」

「俺が居なくても、幸せになってよね!」

「…っ、佐助」

「…本当は俺が幸せにしてあげたかったけど、もう無理だから」

「…何、言ってんだ」

「…ごめんね、小十郎さん」

「…おい、佐助っ」

「…あーあ、死にたくなかったなぁ」

「佐助、待てっ」

「…さよなら、小十郎さん」

「佐助っ!」

「約束だからね!
絶対、幸せになってよね!」

「っ、佐助ッ!」

「…ばいばい」






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