嘘つきメランコリー 8











甘える三成のなんと愛らしいことか
拗ねる姿も、心配する姿も、われの為に、われを想うゆえ

「ん、刑部…」

われの首に腕を回し口付けをせがむ蕩けた顔

「ぬしはほんに口付けが好きよなァ」

からかいながら、やさしく唇を触れ合わせる
柔らかな薄い唇は微かに震え、
唇を離した後はいつも頬を染め視線を逸らす
いつまでも慣れることの無い三成の反応に笑ってしまう

「やれ三成、いつになれば慣れよる?ヒヒヒッ」

「…私が知るか」

恥らうのを誤魔化すようにわれの肩に顔を埋め、ぎゅうぎゅうと抱きついて来る
そんな三成を抱き締め、同じようにぎゅうぎゅうと抱きしめてやれば、
くすくすと笑い、嬉しそうにまた口付けをせがんでくる

どこまでも甘やかしてやりたいと思う
いつまでも笑っていて欲しいと思う

「刑部」

「いかがした?」

「呼んだだけだ」

「……ヒヒヒッ、よもやわれがこのようなことをするとはなァ」

「嫌か?」

「いや、驚いておるだけよ」

「刑部、好きだ」

「ああ、われも好いておる」

「ふふっ、刑部」

「なんぞ?」

「呼んだだけだ」

今までならば見ているだけで虫唾が走るようなことも、
三成と共にすることならば喜びに満ち溢れる

どこまでも幸福が降り注ぐ

「三成よ」

「何だ?」

「愛しておるぞ」

「…っ、ああ!
私も、心から刑部を愛している!」

われの行動に、言葉に、一喜一憂する三成が愛おしい

この花咲くように綻んだ笑みを、他の誰が見たことがあろう?
幸せそうに目を細め、口元を弛ませ、美しく笑う三成を

ああ、時を止める術があれば良いものを






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