嘘つきメランコリー
7
三成の髪を撫でながら、青く澄んだ空を見上げる
ついこの間まで憎たらしくて仕方なかった空さえも、
今のわれには祝福のように感じられてしまう
好いた者と想いが通じ合うだけで、
この世界は容易く幸福で満たされるのだ
現金なものよなァ、と考えながらまた三成の髪に指を通した
「眠れや眠れ、ゆるりと休め」
すやすやと寝息を立てる三成はわれが何を言おうと、
いくら髪を撫でようと、起きる素振りなど微塵も無く深く寝入っている
柔らかな日の光に照らされた白銀の髪
微かに震える長い睫毛は頬に影を落としている
われの膝を枕にし、三成が眠る
伝わる温かさに安心するなど、われには有り得ぬことだと思っていた
誰かがわれにふれることなど、この先は有り得ぬのだと思っていた
そんなわれを好きだと言ってくれる
愛しそうに笑って名を呼んでくれる
愛していると抱き締めてくれる
奇跡はあるのだと知った
いや、三成に出会えたことこそが、奇跡かもしれない
日々の繰り返しの中で想いが重なり、
こうして共に居る事が出来るなど、
われにとっては全てが奇跡としか言いようが無い
「…んぅ」
「…まだ眠っていても良いぞ?」
「……ん」
薄っすらと瞳を開き、甘えるように膝に頭をすり寄せられる
その髪を撫でながらそう言ってやれば、
幸せそうに口角を上げ、ゆっくりと瞼が閉じられる
「愛い、愛い、われの三成…」
これまでの生涯で、こんなにも穏やかに笑ったことがあっただろうか?
こんなにも満たされた気持ちで誰かに触れたことなどあっただろうか?
あまりの幸せに眼が眩む
いつまでもいつまでも、この時が続けばいいなどと、
そのようなことを思ってしまう程に浮かれている
「…どうかぬしに幸いが訪れるよう」
眠る三成の手を取り、その甲に口付けを落とした
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