嘘つきメランコリー 4











頭を抱えて布団に潜り込んだ

三成を傷付けてしまう所だった
己の欲の為に、三成を汚してしまう所だった

己の欲深さに、浅ましさに、
布団の中でただ震えることしか出来なかった

三成が追ってきたらどうしたら…
一体何と言えば良いのだろうか…

そんなことばかりがぐるぐると頭を回り、
襖が開くことを恐れ目を閉じ耳を塞いだ

「…っ、三成」

部屋を出た時に掛けられた声の物悲しさ
われを求め伸ばされた手のひら

「……すまぬ」

きっと三成を傷付けた
深く深く、三成の心を傷付けてしまった

それでも今更三成の部屋に戻ることも出来ず、
戻った所で何を言っても手遅れかも知れぬと、
そう考え出すと止まらなくなり、
恐れに竦んで動くことは出来なかった

「……すまぬっ」

早に朝が来いと願った
全てが夢であれと願った
これが現実だとは信じたくなかった

三成が今何を考えているかなど、考えたくなかった

卑屈な己が悪いのだと分かっている
臆病風に吹かれ、向き合うことを恐れた
奪ってしまうことなど出来ず、己の欲望に怯えた

三成を汚してしまうことで、己が傷付くことを恐れた
そうやって三成を傷付けていると分かっているのに、
われは三成を抱き締めてやることすら出来はしない

あまりにも嘘を重ねすぎた
誤魔化すことばかりうまくなった

好きの一言も伝えられないほどに、
欺瞞に満ち満ちてこの口は固まってしまった






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