嘘つきメランコリー
10
「愛い、愛い
ぬしはほんに、美しい」
「……刑部」
蝋燭の明かりに照らし出される三成の白磁の肌
傷一つ無い艶やかな体が、惜しげも無く晒されている
恥らうように顔を背け、拗ねたように名を呼ばれる
「やれそう急くな
じっくり味あわせやれ」
「………あまり見られると、恥ずかしい」
「そんなぬしを見るのも愉しみの一つよ、ヒッヒヒッ」
絹の如き肌に指先でそっと触れてやれば、
耳まで赤く染め潤んだ瞳でわれを見詰める
その何と扇情的なことか
「……口付けても、良いか?」
「…当たり前だ
そんなことを聞くな」
三成の言葉に苦笑しながら、その薄い唇に触れる
目を閉じるときに震えた長い睫毛が、
ぼんやりと光に照らされる銀の髪が、
瞼の奥に隠れた金緑色の瞳が、
夢のように美しい
「っ、ん」
唇をついばみ、唇を舌で舐め上げれば、
誘うように開かれた口からは三成の薄い舌が差し出される
「ふっ、んんっ」
その舌を自らの舌で絡め取り、
三成の口内を余すところ無く犯す
「……っ、はぁっ」
目の端を赤く染め、
われの着流しをぎゅっと掴み、
浮ついた瞳で三成がわれを見詰める
「…刑部」
「ヒヒッ、こんな時くらい吉継と呼びやれ」
「……吉継」
嬉しそうに笑う三成を布団の上に押し倒し、噛み付くように口付けた
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