黒 い 炎 5











細い腕を縛り上げ、硬く強張る足を強引に開かせた
小さなガラス玉を慣らしもしない穴に押し込んでいく

冷たさからか痛さからか、
三成が唇を噛み締め顔を歪めている

個人的には悲鳴を上げてもらった方が興奮するが、
苦痛に歪む顔も堪えられた吐息も
三成が発するのならば十分に魅惑的だ

ガラス玉を十も入れた頃に、
縛り上げていた縄を解き上掛けを被せてやる

「散歩に行くぞ、三成!」





三成は美しい
気高い椿のような、そんな雰囲気がある

だが、今こうして頬を染め俯いている姿のなんと可憐なことか

情けなく眉を下げ、忙しなく目を泳がせている

「三成、ワシの言うことが聞けないのか?」

「…っ!」

雲一つ無い夜空には満月が爛々と輝いている
夜も深いこの時間に誰かが天守に来ることは無い

それでも頬を染めて恥らう三成は愛くるしい

「仕方ないな」

後ろから三成を抱き寄せ片足を支えてやる

「ほら、もう我慢しなくていいんだぞ?」

そう言って笑ってやれば三成は瞳に涙を浮かべ、
金魚のように真っ赤になってぱくぱくと口を開閉する

しがみ付いてくる手は汗ばみ、
体は微かに震えている

自室からここまで歩かせたのだからもういい加減限界なのだろう

それでも頑なに堪えようとする姿がいじましい

「い、家康…」

「どうした?」

浅い呼吸に潤んだ瞳
染まる頬に力のこもらない指先
満月に照らされるのは無力な三成

「本当に、ここでするのか?」

「我慢出来ないと言ったのはお前だろう?」

唇を震わせて三成が下を向く
頬を伝う涙が美しいと思った

そのまましばらく待ってやれば
ようやく決心がついたのか
しがみ付いてくるぎゅっと指先に力を込めた

「絶対に、手を離すな…
絶対にだ!」

「あぁ、約束する」

一つ息を吸い込みきつく瞼を閉じ
歯を食い縛る横顔を見つめた

「んっ…ぅ…」

三成の穴から吐き出されたガラス玉が落ちる

一つ、二つと吐き出されていくそれを眺めながら
今までになく歓喜している自分が居た

あの生真面目な三成が自分に従い、
あまつさえこんな場所で用を足すなど、
一体誰が想像するだろう

「三成…」

呼べばぎこちなく振り向いた三成の唇を貪る
小さく開かれた口に舌を差し込みぐちゃぐちゃと口内を犯した

時折震える体と、ガラス玉が落ちる音に愛情が深まっていく

ガラス玉はもう全て排出されたようで
舌の絡み合う音しか聞こえない

「もう全て出したか?」

「…あぁ」

ぐったりと力の抜けた三成の足を下ろし座らせてやる
口の端から零れた涎を拭うこともせず、
呆然としている三成の頭を撫でてやる

「ワシも用を足したくなってきたな」

そう言って三成の顎を掴めば、
戸惑ったような顔をしたが大人しく口を開いた

「一滴でも零したらお仕置きだぞ」

返事も聞かずに開かれた口に雄をねじ込む

そのまま何の躊躇いも無く尿を出す

「ん゛っ、ぐっ…」

眉をしかめながらもごくごくと喉を鳴らす
紅潮した頬が可愛いなと思った

大した量でも無かったが、
初めて飲んだであろうそれはやはり苦しかったらしく
肩で荒い息を吐いていた

「いい子だ、三成」

笑って抱きしめてやれば
嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべる

なんて愛おしいのだろう
なんて幸せなんだろう

吐き出された玉を一つ残らず拾い集め、
ぐったりとした三成を抱き上げる

「楽しい散歩だったな」

不満そうに見上げる三成の視線など気にせず
心からの笑顔を見せる

「また行こうな」

「…家康が、一緒なら」

恥ずかしそうにそっぽを向きながら三成が呟いた

これ以上無い多幸感に酔いしれる

頭上に広がる満天の星を眺めながら
三成に好いてもらったワシは果報者だと思った




黒い炎に狂わされ






←/4/6→
←三成部屋
←BL
←ばさら
←めいん
←top