手記 5











主の頬を舐めた
たくさん尻尾を振った
たくさんの感謝を伝えたつもりだったが、
どうやら主には上手く伝わらなかったようだ
どうしたら上手く伝えられるのだろう
犬の姿がいけないのだろうか?
人の形に戻れば、伝わるのだろうか?
だが、主は俺が風魔小太郎だと知らない
驚かせたくない
どうしたらいいだろうか?


主が刑部の部屋で飲んで帰ってきた
酒の匂いが酷い
一体どれだけ飲んだのだろう?
倒れてしまわないかと思うと胸がもやもやした
たくさん刑部の話をされた
刑部と出会った時のこと
初めて言葉を交わした時のこと
何と言われて嬉しかったか、
何と言われて悲しかったか、教えてもらった
刑部が患った時のこと
周りの眼に苛立ったこと
「見た目だけで態度など変えるか、馬鹿者が…」
そう言って主が眠ってしまった
布団を引っ張り出してかける
隣に潜り込み眼を瞑った


主が政務で忙しそうだ
邪魔をしないように大人しくしている
いつの間にか眠っていたようで、主の声がして目が覚めた
慌てて駆け寄れば、「すまない、起こしたな」と笑ってくれた
主が呼ぶならばいつだってすぐに駆け付けるのにと思った
どんなにそう思っても、
声の無い俺では主にそう伝えられない
とても苦しい
主が居ない時とは違った苦しさだ
俺は主の為に何かしたい
主は、俺を望んでくれるだろうか?
そう考えると胸が痛い
人ならば、この気持も分かるのだろうか?


刑部が主の部屋に来た
二人が茶を飲んでいるのを邪魔しないように隅に座った
刑部が手招きをするので側に寄れば撫でられた
主とは違う手の感覚にすこしむず痒さを覚えた
刑部が楽しそうに笑っていた
主も楽しそうに笑っていた
主の笑顔が嬉しくて尾を振った
刑部がため息を吐き、主に撫でるように言った
主に撫でられてとても嬉しくなった
刑部が部屋を出てからも主は上機嫌で嬉しそうだった
主と眠る毎日が続くのが、とても嬉しい


主に感謝を伝えたい
見た目で態度は変えないと言っていた
人の姿に戻ろうと思う
声は無くても、どうにかして伝えたい
本当に嬉しい
この気持を少しでも主に伝えたい
明日河原に行こうと言っていた
その時にでも伝えられたらいいと思う
明日が楽しみで仕方が無い
主は喜んでくれるだろうか?
笑ってくれたらいいと思う
楽しみで中々寝付けない
上手くありがとうと伝えられるといい


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