手記
2
一晩考えた
石田三成を主と呼ぶことにする
飼い主なのだから問題は無いと思う
俺は主の話を聞くのが好きだ
背を撫でられながら、主の感じた一日の話をされる
主の声が好きだ
生真面目で、優しい声が
抱きしめられているような気になる
安心する
明日もこんな日が続けばいいと思う
主が出かけて行った
明日にならないと帰って来ない
とても寒い
部屋が暗い気がする
この部屋はこんなに広かっただろうか?
部屋をうろついてみたけれど、広さは変わらなかった
女中が様子を見に来た
「寂しそうね、もうすぐ帰って来ますからね」と言われた
これが寂しいという感情だろうか?
とても嫌な感覚だ
寂しいは嫌だ
その日の飯は食えなかった
早く主が帰ってくればいいと思う
主が帰ってきた
血の匂いがした
怪我をしていないかと考えたら胸がちりちりと焦げたように痛む
どこも傷など負っていないのに、なぜそう感じるのだろう?
主は傷を負ってはいないらしい
安心した
「すまなかった」と強く抱きしめてくれた
嬉しいとはこういう感情だろうか?
跳び上がりたくなる
目一杯主にくっついていたいと思う
主が帰ってきたら部屋が明るくなった
今日は主と一緒に眠れる
これが本当に嬉しいという感情かは分からない
けれど、とても嬉しいと思う
今日は主は休みらしい
たくさん撫でて貰った
たくさん抱きしめて貰った
二人で山を駆けた
花が咲いていた
綺麗だと思った
楽しいが何となく分かった
嬉しいとは少し違う感覚だ
主と一緒に風呂に入った
ふかふかの布団に二人で潜り込む
主とずっと一緒に居られた
今日はとても楽しかった
許されないかもしれないけれど、
俺はこの人の為に何かしたいと思う
石田三成、いや三成様
迷惑かもしれないけれど、俺にとっては主だ
初めてのたくさんの感情をくれた、
かけがえの無い大切な主君だ
守りたいと思う
ずっとお側に居たいと思う
この温かさをどうしたら伝えられるか考えている
この温かさが何なのかを知りたい
俺は、主を守りたい
それだけは明確に分かった
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