Happy   Birthday   side/三成











『三成、俺ァアンタが好きだ』

『………っ、だが私はっ!』

『アンタのひでぇ過去も全部ひっくるめて、
俺はこれからのアンタと生きていきてぇんだ』



真剣な顔でそう告げられてからもう二週間
どうしたものかと考えたが、長曽我部の態度は一向に変わらない
それに救われながらも、何だか物足りない気分になる

「……っ!?なっ、何をするっ!!」

「んだよ、手ぇ繋いだだけだろ」

「こんな往来でっ、人目がっ…!」

「暗ぇし誰も気にしてねぇよ」

「っ…………」

大丈夫だと笑う長曽我部の耳が、
闇夜の中でも赤く染まるのが見えて何も言えなくなる

私が男に犯されたことを知ってなお、
私を蔑むこともなく、ずっと友でいてくれた

それどころか、こんな私を好きだと言った

それがどんなに嬉しかったか
アンタは綺麗だと言われて、涙を堪えるのがどんなに大変だったか

返事を保留にして、ただ逃げているだけと分かっていた
自分の答えはもう決まっていた
ただ長曽我部に申し訳ないと、それだけが気がかりだった

それでも、手を繋ぐだけでこんなに真っ赤な耳をして、
振りほどかれないことを純粋に喜ぶ姿を見ていると、
自分を誤魔化していることの方が申し訳ないのだとふと思った

「長曽我部……」

「ん?」

「………まだ、私が好きか?」

「当たり前だろぉがよ
……キライになれッつうほうが無理だわ」

「………長曽我部、私は貴様が好きだ」

「おー……っおお!?」

勢いよく振り返った顔は驚きでかたまり、その表情に笑ってしまう
長曽我部の手をぎゅうと握り返し、真っ直ぐに視線を合わせる

「……私と共に、生きて欲しい」

「……三成ぃー!好きだー!」

言葉と共に強く強く抱きしめられ、
その大きな背中にそっと腕を回す

「………一生、大事にするッ」

かすれた声で、ありがとなと呟いた長曽我部に、
この男を好きになれたことを心から良かったと思った






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