Happy   Birthday   side/幸村











「徳川殿おおおお!
なみのりは某のウルガモスにも有効でござるあああ!」

「ははは、すまない
でもほら、全滅出来たからいいじゃないか」

「ウルガモスウウウウウっ!」

「くっそ、一発耐えれっと思ったんだがなァ」

「私のシャンデラが………」

徳川殿の部屋でゲームをするのは久しぶりだ
特に、石田殿とは話をすることも随分と久しい

ここしばらくはずっと避けられているようで、
原因も分からず悩んでいたが、またこうして共に遊べることを嬉しく思った

「まぁ飲み物でも飲んで……
あ、もう買ってきた飲み物がなくなってしまったな」

「ならば某が買って来ましょうぞ!」

「おお、悪ぃな真田」

「では行ってまいります!」

いそいそと階段を下りていれば後ろから声をかけられ立ち止まる

「真田、財布を忘れている」

「おお、かたじけない!」

「……私も一緒に行く」

マフラーに顔を埋めるように俯く石田殿と並び、静かな街中をのんびりと歩いていく
息が白く流れていくのをぼんやりと見ていた

「石田殿、悩み事は解決なされましたか?」

「………ああ」

「良かった
某も徳川殿も大層心配致しました
もし次に悩むようなことがあったら、どうか存分に頼ってくだされ!
某でよければいくらでも力になりましょうぞ!」

ふん!と拳を握り締めて石田殿を見れば、
困ったように眉を寄せ、それでも微かに笑ってくれた

その穏やかな笑みに、某もつられて笑みが零れる

「心配をかけてすまない
………感謝する、真田」

「礼には及びませぬ
ただ、もう一人で悩まないと約束してくだされ」

「……分かった」

真っ直ぐに目を見て小指を差し出せば、
ため息を一つ吐き、石田殿が小指を絡ませる

指きりの決まり文句を口にして指を離せば、石田殿が自分の手をじっと見詰めていた

「どうなされました?」

「いや、何でもない」

そう言うと、楽しそうに笑い石田殿が早足になる

「真田、どちらが先に着けるか勝負だ!」

「あっ、待ってくだされっ!」

そのまま駆け出してしまった石田殿の後を追い、某も駆け出す

元より石田殿の足には勝てぬと分かっていたが、
それでもこの瞬間が楽しくて、勝ち負けなどすでにどうでも良かった

「遅いぞ真田」

「ず、ずるいでござる、石田殿!」

袋をぶら下げた石田殿が出てくる頃にようやく追いつき、今駆けて来た道をまた戻ってゆく

上機嫌に笑い、軽い足取りで進む石田殿が、
本当にもう何の憂いも抱えていないのだと思えて嬉しかった

「石田殿、戻ったら次は某と組んでくだされ!」

「ああ、次こそ家康を打ち倒すぞ!」

「もちろんでござる!
ウルガモスまでも巻き込まれた無念、必ずや晴らしましょうぞ!」

笑い合いながら歩く道は、一人で歩くよりも楽しい
石田殿もそうであったらいいと思った






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