二人ぼっち
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お愛の顔色は悪い
高熱があるというのに、真っ白だ
「……ぅ」
「っ、お愛!気付いたか!?」
「…………」
ぼんやりとワシの顔のほうを向くが、その視線は定まらない
声だけは分かるのか、小さく頷いただけだった
「待っていろ、すぐ医師を」
呼んで来る、と言おうとした言葉は袖を引かれて遮られた
ぱくぱくと口を開け、何かを伝えようとするお愛の口元に耳を近付ける
「………お方様と仲良くなさってくださいまし」
もう聞き取ることも困難なほどに小さな声でお愛が言う
その言葉に返事を返しながら、もう駄目かもしれないと思った
「…お愛は、お二人の幸せを願っております」
弱弱しく、それでもしっかりと笑みを浮かべる
最後まで他人のことを願うなんて、一体何人の人が出来ることだろうか
「長丸を、お願い致します………」
それきり、目を閉じてしまったお愛の手をぎゅうと握った
ひゅうひゅうと浅い呼吸を繰り返し、額には玉の汗を浮かべている
ただ手を握り、祈ることしか出来ない無力さを嘆いた
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