二人ぼっち 31











「ぁっ、家康様…」

「……達きそうだ」

「あぁ、来てっ、くださいまし……」

「…っ!」

「んっ!ああっ!」

「…………はぁ」

もう何度目だろう
性を放った後のこのやるせなさ

未だ息を荒げるお愛の隣に横になりため息を吐く

「大丈夫か?」

「…ええ、大丈夫でございます」

頬を赤らめたまま優しく微笑む顔に切なさと申し訳なさが募る
何度肌を触れ合わせようと、
どうしたって心はついて来ないのだ

「家康様」

「なんだ?」

「お方様の所へ行って良いのですよ?」

「…いや、しかしそれでは」

「ふふ、早くお方様にお会いしたいとお顔に書いてございますよ?」

「……すまん」

「いいえ、家康様がお謝りになることではございません
…今宵はこのお愛をお呼びくださいまして、有難うござりまする」

襦袢を羽織ったまま深々と頭を下げるお愛に、
もう一度だけすまんと呟いてから身支度も早々に部屋を出る

人気の無い暗い廊下を足音を立てないように駆ける

いつもはそこまで長いと感じることの無い廊下が、
他の者と触れ合った後はひたすらに長く感じられる

もどかしく、焦りと不安が頭をもたげる

早く顔を見たい
早く抱き締めたい
早く声が聞きたい

そればかりがどんどん大きくなっていく

目指す部屋から漏れる灯かりに頬が弛むのが分かる
焦りも不安も掻き消えていくのが分かる

ワシの帰る場所はここなのだと実感する

襖の前でわずかに息を整える
もう顔にはハッキリと笑みが浮かんでいる

「三成、入るぞ」






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