二人ぼっち
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「室を取ろうと思う
皆がいいと思う者を見繕ってくれ」
「おお、畏まりましてございます!」
去っていく家臣の嬉しそうな顔にため息を吐く
このことを伝えたら、三成はどんな顔をするんだろう?
怒るだろうか?
当然だ、と鼻を鳴らすのだろうか?
嫌だと泣いてはくれないだろうか?
「……はぁ」
泣いてくれたらいい
怒ってくれたらいい
少しでも不安を感じるのならば、
三成だけを愛していると、何度でも言ってやる
結局、ワシが嫌なだけだ
室を取り、子を生す
それが、三成が生きられる条件だとしても、
ワシは愛してもいない者を抱きたいとは思えない
ワシが愛しているのはどうしたって三成一人だけなのに…
「………はぁ」
もっと簡単に生きられたらいいと思う
単純に、明快に、分かりやすく
もしそれが許されるのならば、ワシは三成を愛そう
日々を慈しみ、何度も愛を囁こう
二人で穏やかに毎日を過ごしたい
もはや日ノ本は平和になったんだ
「……三成」
どうしたら、この揺ぎ無い愛を伝えられるだろう
言葉よりも、行動よりも、もっともっと強く
どんなに周りが変わろうと、
ワシが、三成が変わろうと、
変わらない想いがあると伝えられるのだろう
ワシはこれから何人の女を抱くのだろう
何人の子を生し、親になっていくのだろう
眩暈がしそうな未来だ
なあ、それでも
ワシはいつだって、一番にお前を愛しているんだ
それはきっと、これからだって変わりはしないさ
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