二人ぼっち
24
縁側に座り明るく輝く月を見上げた
闇夜に浮かぶ花は静かに風に揺られている
今夜も家康は来ないのだろうか?
一人きりで震えては居ないだろうか?
そんなことを考えてはため息を吐き出した
「……」
「三成ッ!」
「っ!?」
背後で勢いよく開かれた襖に肩を竦ませ、現れた家康に駆け寄った
「家康っ、この馬鹿がっ!」
「うわっ、ちょ、三成!待ってくれ!」
胸倉を掴み、慌てた顔の家康を睨み付ける
振り上げた拳を止め、家康の肩口に額を擦り付けた
「…貴様がっ、私を守ろうなど百年早い、馬鹿者が」
「…すまん、三成」
「もう二度と私の為にと口をつぐむな!
一人で全てを抱え込むことは許さないっ!」
「三成………ああ、分かった
これからは一人で抱え込んだりしない、約束だ!」
微笑み、小指を差し出してくる家康に私の小指を絡ませる
童のように決まり文句を口にする家康と、初めて指切りをした
「……それで、家臣はどうなったんだ?」
「そうだ、聞いてくれ三成!」
指切りを終え、疑問を口にすれば嬉しそうに笑い私のことを抱き締めた
「ワシと三成のことを認めなければ出て行くと睨み付けてやったんだ!
家臣達のあの顔といったらもう…
ああ、三成にも見せてやりたかったなぁ!」
「貴様、そんなことを言ったのか!?」
「ああ!…もうワシが居なくても国は回るさ
それなら、三成と二人でどこかへ行ってしまってもいいと思ったんだが」
「……私は貴様の側に居る
だが、貴様が始めたことだ!最後まで責任を持て!」
「ははは、大丈夫、三成の事は認めてもらったよ
まぁ、不平不満は多々あるだろうがなぁ…」
そのまま二人で畳の上に寝転がる
何かしら言いたいことはたくさんあったが、
家康が楽しそうに笑うからどうでもよくなってしまった
「こんな風に言いたいことが言えたのは久しぶりだ」
「そうか」
「ああ、しかし本当に…あの顔といったら…っ、くくっ」
「…そんなに可笑しな顔だったのか?」
「くっ、ははっ、あはははは!」
「……ふっ、ははっ、はははっ」
笑い転げる家康につられ、私も笑ってしまう
いつもの女中が夕餉を持ってくるまで二人で笑い転げた
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