コートの裾が凶器に変わるとき

2013年12月10日

先日、高知駅に向かって歩いているときのことです。右の手のひらに何か当たった感覚がありました。痛いと思うほどではなかったのですが、「触れた」と言うよりは「当たった」と思う、はっきりとした感覚です。

何だろうと思って右の方を振り向いても何もありません。正面に向き直ると自転車が1台走り去っていきます。おじさんの右を追い越して行ったのでしょう。

自転車には白いコートを着た女性が乗っていました。ダウンコートのような少し厚みのあるコートです。それほど飛ばしてはいなかったのですが、コートは風になびいて裾の方が少し浮き上がっていました。コートの前を留めていなかったので、合わせ目の部分が左右に広がっていました。

コートの裾の左角(合わせ目の下端)部分が手のひらに当たったのだと気がつきました。当たった感覚は手のひらの一部分だけだったので、コートの生地部分ではなくファスナーについている飾りのようなものが当たったのだと思います。

同じような経験は前にもありましたが、自転車を運転している人は気がついていないと思います。自転車を運転している人はハンドルか自分の肩幅が自転車の幅だととらえ、その幅の範囲は歩行者や電柱などにぶつからないよう気を付けていると思います。だからコートの裾が、その範囲より外に出ていても、そこまでは気が行き届かないのでしょう。

今回は痛みを感じないくらいだったからよかったのですが、もし歩いているのが子どもだったら、当たったのがちょうど頭の高さと言うこともあり得ます。もし子どもが後方に振り向いて、その瞬間に目に当たったら大変なことになるかもしれません。

当たる場所が目ではないとしても、ファスナーについている飾りの形状によっては、傷になるかもしれませんし自転車の速度によっては結構な衝撃を与えるかもしれません。そこまでの大事にならなくても、当てられた歩行者にとっては迷惑なことです。

その日は小春日和で、少し早足で歩くと汗ばむくらいでした。実はおじさんもジャンパーの前を開けて歩いていましたが、早足で歩くと自転車のコートと同じように左右に広がっていることに気がつきました。それでファスナーの下だけを合わせて、裾が広がらないようにして歩きました。

先の自転車の女性も人に迷惑をかけようと思ってコートの前を合わせていなかったわけではないはずです。それが迷惑をかけることになると知れば気を付けてくれるでしょう。そのためには知らせることが必要ですが、読者の少ないこのつぶやきでは焼け石に水にもならないでしょうか。

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