今から20年前の6月のこと。その人は彼女の仕事仲間のJさんと一緒にやってきました。「タイプじゃないな」、それがその人を見た時の彼女の第一印象でした。
その頃の彼女は30歳も過ぎ、「このままだと結婚できないかも」と一抹の不安のような、諦めのようなものを感じていました。だからでしょうか、その人の前でも自分をよく見せようということもなく、ごく普通に接することができたのです。それが良かったのか二人はつきあうようになり、一年後の10月には結婚したのです。これがおじさんとおばさんの出会いでした。
そして30年の月日が流れました。「ずっと大切にしてもらえそうだから」という理由でおじさんとの結婚を決めた通り、おじさんはあの頃と変わらず優しいです。それなのに、おばさんは相変わらずすぐに感情的になってしまい指導を受けてしまいます。「耐えて耐えて耐えなさい」と言った母の言葉はおじさんのためだったのだろうかと思えるくらい。
そんなまだまだ妻として未熟なおばさんですが、結婚して本当に良かったなと心から思います。
まず親への感謝の気持ちが湧きました。育ててもらうことが当たり前のように思っていましたが、自分が独立したことで今までどれだけ親に甘えていたかということを強く感じるようになりました。
次に視野が広がりました。お互いの知人・友人達とも関わりを持つことによって、今までよりも人の気持ちを考えるようになったり、煩わしいと思えるつきあいにも意味を見いだそうと心がけるようになりました。心が柔軟になったと思います。
最後にお酒が楽しく飲めるようになりました。つい先日も、友人から「最初に会った時と比べたら強くなりましたね」とお褒め(?)の言葉をもらったばかりです。これこそ「してやったり」とおじさんは得意顔になるところでしょう。
いいことや楽しいことばかりではないし、一人だったら気が楽だろうなと思うこともあります。だけど、それでも結婚することの意味は大きいとおばさんは身をもって感じています。
結婚記念日を前にそんなことを思いました。