政治家検定

2009年6月30日

東国原英夫・宮崎県知事が自民党の古賀誠選挙対策委員長から総選挙への出馬要請を受け、その条件として総裁候補とするよう求めたことが話題になりましたが、今度の総選挙にもまたタレント政治家がたくさん出てくるのでしょうね。

衆議院や参議院の選挙の時には「あの人に政治のことが分かるのだろうか」とか「あんな人に国政を任せて大丈夫なんだろうか」というような候補者が結構いたと思います。

タレント政治家と一口に言っても、豊富な知識と教養を備え、日頃から政治に関心を持っている人もいるでしょう。でもタレント政治家というと、その知名度で多くの票が得られるとして、いわば票集めのための広告塔という印象が拭いきれません。実際に、浮動票の多い都市部ではタレント政治家がかなり票を集めてしまうようです。

自党の勢力のためだけに、政治家としての資質の保証のない有名人を擁立しているとすれば、その政党に大きな問題があると思います。これは政党だけでなく知名度だけで投票する有権者にも問題があるのでしょうが、私達には政治家としての資質があるかどうかの正確な判断材料は与えられていないように思えます。

そこで提案ですが、今流行りの検定試験制度を導入したらどうでしょうか。「政治家検定」とでもしましょうか、検定試験を行ってそれに合格していないと立候補できないようにするのです。市町村や都府県の議員、市町村長、知事、そして国会議員とそれぞれに必要な知識・理解を問うのです。

司法試験のような難関では多様な人材を政治家に登用することができなくなりますが、せめて政治に関心を持ち、新聞の政治面に目を通していれば得られるぐらいの知識は必要だと思います。政治に対する本人の考え方や具体的な政策などは公正な評価が困難だと思いますし、それこそは有権者が判断すべきことですので、客観的に評価できる内容を問うのです。

麻生首相が「郵政民営化には賛成ではなかった」と言って問題になりましたが、ほとんどの施策は賛否両論があるはずです。消費税増税や高速道路上限千円といった身近な事柄、海賊対処法や船舶検査法といった国際的な事柄、今話題になっていることだけでなくこれまでに審議された内容なども含め、それぞれの立場で必要とされる幅広い分野て、それぞれの意義と問題点(メリットとデメリット)の両面や留意すべき点などを指摘するというのはどうでしょうか。

このような問いが求めるものは、単に検定試験のためだけではなく、政治家として意志決定をする際に、特定の立場からの一方的な意見だけではなく、相反する立場での意見を充分に検討するためにも必要なことだと思います。

この検定の受検歴や成績も公表するようにすれば、どのような分野に詳しいか、逆にどの分野はあまり精通していないのかが分かると思いますが、それは厳しすぎるかもしれませんね。

この制度を実施する上では様々な問題も発生すると思います。まず考えられるのが政治家になる意志は全くないけれども、検定試験だけは受けたいという人の扱いです。年に数回は受検機会があるほうが望ましいでしょうが、力試しだけの受検者が多くなりすぎると検定試験そのものの実施に支障が出てくるでしょう。その場合は検定料をかなり高くする方法があります。その代わり、立候補する時に高くした分を戻すようにするのです。そうすれば、ただ検定を受けたいだけという人の受検はかなり減るでしょう。

これで政治家になろうという人は、事前にその意志をしっかり固めて検定試験に合格してから立候補することになります。つまり、いくら有名人、時の人であっても検定試験を受けて合格するという自信がなければ立候補しようとは思わないでしょう。また有名人に限らず、立候補者は最低限の資質を有しているという保証にもなるのです。

かなり乱暴な提案かもしれませんが、一考の余地はあると思うのは私だけでしょうか。

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