銀行の窓口嬢が左前

2005年8月17日

7月8日の新聞に

「七夕 窓口の織女、現る」

という見出しで「夏の風物詩『七夕』にちなみ、○○○銀行□□支店では、職員が浴衣姿で利用者の窓口対応にあたっている」という写真入りの記事がありました。

その浴衣姿の写真を見て驚きました。何と左前に着ているのです。少し不鮮明な新聞の写真なので一瞬見間違いかと思ったのですが、どう見ても左前になっています。ひょっとして裏表逆に印刷しているのではとも思ってみたのですが、カウンターに表示されている文字も普通ですし、左奥に写っている女性はきちんと着ているように見えました。

着物の左前については、これまでにも何度か書いたのですが、( 「道後温泉でビックリ」 「左前をなくすための提案」 「おせっかい」)今回の写真は大きな問題があるように思いました。

まずは、銀行内で誰も気がつかなかったことです。「『地域の人にこれまで以上に親しんでもらえる銀行に』という職員の発案で始めた。」ということなので、銀行としての取り組みのはずです。職員の誰かが気がつけば当然すぐに指摘するだろうし、指摘しなければいけないことだと思うのです。左前には「物事が順調に行かないこと。運がわるくなること。経済的に苦しくなること。」(広辞苑 第五版)のような意味もあるのですから、銀行では特に気をつけなければならないことではないでしょうか。。

次に、銀行を利用している人の誰もが気がつかなかったのだろうかということです。街中で左前に着ている人を見つけても、「自分で着直すことができるだろうか、着直す場所は・・・?」などと思うと、「左右が逆ですよ」などと指摘するのをためらいます。でも、今回の場合は着付けの技術も場所もあるはずだし、気がつきさえすれば「逆ですよ」と言えると思うのです。

最後は、報道する新聞社の問題です。これが一番大きな問題だと思うのですが、明らかに間違った着方をしている写真を堂々と載せる無神経さを疑います。この写真を見て、「着物はこんなに着るのか」とか、「別に右左を気にしなくてもいいんだ」と思うような人がいたら大変なことです。

「最近は左前でも気にしない人が増え、銀行の窓口嬢まで左前に浴衣を着ています。」

こんな記事が現実のことにならないよう、マスコミの使命を考え直してほしいと思いました。

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