家を建てるなら

〜おじさんとおばさんの「オンリーワンの家」〜

理想の土地
〜地盤調査〜

2010年4月30日

まだ家を建てることなど全く考えていなかった10年ほど前のことです。地震を研究している大学教授に南海地震についての講演をしてもらい、その夜はおじさんの実家に泊まってもらいました。その時に教授が話してくれたことをなぜかよく覚えています。

それは造成地では隣同士でも地震の際の危険度が違うという話でした。元々山だった場所や起伏のある場所をならして平坦にする場合、完成後の土地より高い部分は削り取らなければなりません。逆に低い部分は埋め立てなければなりません。削り取っただけの土地は切り土、埋め立てのは盛り土というようですが、盛り土の場合は地盤が弱いようです。確かに堅くしまった土に穴を掘るのは大変ですが、一度掘った穴に土を戻してからもう一度掘るのはずいぶんと楽に掘ることができます。もちろん造成地では埋め立てたあとは堅くしていくのでしょうが、それでも充分とは言えないのでしょう。

同じ盛り土でも、埋め立てる深さで違いがあることは想像できます。元々谷の部分はかなりの深さを埋め立てる必要があることも分かります。その谷を埋め立てた部分では地震で液状化を起こすことがあるので気をつけないといけないとのお話だったのです(「切り土」「盛り土」等で検索すると詳しく説明したページが探せます)

家を建てようかということになって初めて見に行った土地は、やはり小高い山を切り開いた「○○ニュータウン」という分譲地でした。南向けの斜面を階段状に整地した土地です。このときの知識は、先に聞いた谷の部分に埋め立てた土地は良くないという程度だったのですが、案内してくれた担当者に質問すると結構丁寧に説明してくれました。元々斜めの土地を階段状にするわけですから、切り取る部分もあれば、切り取った土で埋め立てている部分もあるということです。


図Aのように切り取るだけだと、切り取った土が余ってしまいます。それで、図Bのように切り取った土をそのすぐ下に埋め立てると無駄なく工事ができるということも納得です(実際には切り立った部分の擁壁工事のために、一度掘り起こしてから埋め戻す部分もあるようです)。そうやって埋め立てられた部分は地盤が弱い可能性があり、状態によっては地盤の改良工事が必要だと言われました。それを調べるのが地盤調査だということもその時に知りました。

前回の心惹かれた土地とは別に、最終的に2つの土地が条件に合ったので、その中から選ぶことにしました。どちらの土地も昔から農地だった場所なので地盤も問題ないだろうとの不動産屋の話でした。片方の土地が少し広くてその分金額が高かったのですが、おじさんはそちらの方がいいかなと思っていました。それで設計士にも相談すると、すぐ近くに水路があるのでその近くは埋め立てている可能性があるというのです。最初から地盤調査はするつもりだったので、地盤調査の結果を待ってから決めることにしました。

地盤調査にもいろいろな方法があるようですが、一般的な住宅で行われる方法で、敷地の四隅と中心の5カ所を調べていました。その結果、やはり設計士が言ったように水路側は地盤が弱く、地盤改良の必要があるとのことでした。

2通りの方法での地盤改良の見積もりも出されていましたが、50万円程度が必要でした。地盤改良のための費用は、考え方によっては余計な出費になるものだし、地盤改良をしても完全ではない場合もあると聞いたので、もう一つの土地での検討を考えました。

そちらの土地なら地盤は問題ないだろうということでしたが、こちらも念のために地盤調査をしました。ちなみに地盤調査の費用は2万5千円だったので、計5万円の出費です。でもおかげで最初の土地の問題も分かりましたし、安心してもう一つの土地に決めることができたのです。

実は、最初に心惹かれた土地は希望が多いだろうから仮押さえのようなことはできないと言われていたのです。自分が検討している間にでも、他の人が購入すると言えばその人に決まるというのです。元々の土地の状態や地盤調査の結果などを充分に検討している余裕などがなく、早く判断をしなければという気になってしまいます。そのために慌てて買ってしまい、あとで後悔することになったかもしれないのです。

きれいに整地された造成地なら地盤も問題ないと思いそうですが、素人が見ただけで分かるはずはありません。古い地図で元々の地形を調べたり地盤調査で地中の状態を調べることは必要なことだと思いました。

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