今回からは土地選びについてです。実家を立て替えるのであれば土地の心配はなかったのですが、いろいろと考えた結果、高知市に住もうと決めたので、おじさん達の家造りは土地を探すことから始まったのです。
家を建てると決める前から、何度かの引っ越しの経験を元に土地の条件は考えていました。「こんな土地が良い」ということより、「こんな土地は避けたい」ということの方が多かったかもしれませんが、自分たちにとっての理想の土地の条件です。実際に理想の土地に建てることができたかは別として、おじさん達の理想の土地の条件について書いていきます。
何人かに紹介してもらった中に心惹かれる土地がありました。日当たりも良くて周囲の環境も良さそうだったのですが、おばさんは最初から反対でした。詳しく調べたわけではなかったのですが、土地が低いという印象だったのです。
土地が低いとなると台風などでの洪水が心配になります。友人の家で「これは昭和○○年の台風、こちらは○○年の台風」と言って、壁に残った浸水の跡を見せられたことがあります。住み慣れた土地と家を手放して新たな土地に建て直すのは、おいそれとできることではないと思います。でもおじさん達には全く何の束縛もないのですから、少しでも水害の心配のある場所は選びたくなかったのです。
最近は洪水への対策も進んでいるようですが、想定を超える異常気象も考えられます。さらに向こう30年以内では60%程度の確率で起こる(「南海地震はいつ起こるのか」 岡村土研)と言われる次の南海地震による津波も心配です。昭和21年の南海地震では「高知市付近は、地震発生と同時に地盤が1m位沈下したため、完全に海水がなくなるのに1ヶ月位かかりました。」(「高知県に影響する地震津波について」 高知地方気象台)とのことです。次の南海地震でも同じようなことが起こるようです(「予想される地盤の沈降」 岡村土研)。
津波は台風などでの洪水以上に脅威です。身の安全は確保できても流木等で家屋が破壊されることも予想されます。また無事に残ったとしても1ヶ月も海水が引かなければ、生活にも大きな影響が出ます。
完璧な防潮堤のようなものができて、家屋にまで津波が到達しないようにできれば良いのですが、現時点ではそれは無理なことでしょう。だから津波の被害に遭わない場所を選ばなくてはと思ったのです。
今の土地は道路の勾配などからある程度の高さはあるだろうと判断したのですが、正確な海抜は調べることができませんでした。それで高知県が公表している「津波浸水予測図」で見ると浸水の地域からは外れていたので(地震の規模や震源との距離等で浸水の範囲が拡大することも考えられますが)安心しました。
しかし、最初に心惹かれた土地は浸水地域に入っていました。「水害だけは場所を選ぶことで避けられる」というのがおばさんの持論ですが、そのおかげで少しでも安心できる土地を見つけることができました。