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福島原発の廃炉・汚染水対策事業
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1 本事業の提案内容
先行の実現可能な事業を継承し、その他は安全,確実な燃料デブリ回収を開発する。
1.アクセス装置
いままで開発したIRIDに継続開発を願う。当方の使用が承認されない場合や今後、採用困難になった場合、当方代替案を実施。最終年にアクセス関連と回収系の総合試験を行う。
2.周辺整備
燃料デブリの水冷を空冷に変更汚染水解消、ダストと被ばく低減
3.燃料デブリ回収方法
ジェットミルを採用した圧送方式目標処理量1kg/1時間
4.保管方法
液体窒素及び液体Heを媒体とするクライオポンプ(真空蒸着)を応用した回収
回収目標99.999999%
5. 開発計画
アクセス装置、冷却方法、燃料デブリ回収装置、保管容器の開発及び臨界、環境の評価
(1)アクセス装置の製作、試験
先行事業の詳細設計に基づき製作、試験を行う。センサーとモーターに数千Gy/hのガンマ線を照射し、耐久検査も行う。達成困難となれば代替案を開発。
(2)冷却方法
防護区画を行うために燃料デブリの冷却を循環空冷に切り替える方法を検討。
臨界評価やPCV内、原子炉建屋内の温度評価を行う。最終年度は空冷実験を行う。
(3)燃料デブリ回収装置と圧送システム
ジェットミルと圧送は既に確立された製品であるので初年度から実規模サイズのジェットミルと圧送の2段階実験を行う。実験によって改善を重ねる。
(A)回収装置を被回収物の平面にボルト締めで固定した上で回収試験を行う。
(B)水中下の凹凸にした被回収物を氷で閉じ込めた上で回収試験を行う。
(4) 保管容器
1/100スケールモデルの保管容器を製作し(2)項の試験を結合して真空蒸着試験を行う。
(5)臨界評価、環境評価
水冷から空冷、ペデスタル内水張、燃料回収の過程での臨界評価、環境評価を行う。
(6)総合試験
模擬設備でアクセス装置を使って回収装置を投入し、切削、圧送までの一連の動作を確認する。
6 周辺整備
水冷から空冷に
(1)PCV内の窒素を-30℃に冷却し循環冷却を行ない、汚染水の源泉を断つ。
2号機格納容器鋼材のASME SA516 Gr7.0は告示で
-30℃まで使用できるとされている。-30℃であっても脆性破壊の可能性はない。
(2)PCVキレツから入る結露水を氷結させ防護区画設定
(3)ペデスタルの出口を氷で閉鎖しペデスタル内に水を張る
(4)PCV内の線量を1/10に低減させる。
7 燃料デブリ回収方法
ジェットミルを採用した圧送方式連続回収工法
切削方法は燃料デブリに回収装置を接着し周囲を氷で閉ざし、ダイヤモンド並みの硬さと中性子吸収特性を持つ窒化ホウ素(BN)をブラストとして混ぜた高圧高温水または高圧炭酸ガスを装置スカート内から噴射し燃料デブリを粉砕するジェットミルとする。粉体となった燃料デブリを高圧ガスで圧送管を通じ保管容器まで圧送する。この間、BNが中性子を吸収し,常時臨界対策を行う。
センサーやモーターなどの電気精密部品がなく、極めて高い放射線に強靭
8 保管方法
真空蒸着を応用した回収フィルターレス、無蓋
(1)高温圧縮ガスで燃料デブリのパウダーを液体窒素で冷却した第一保管容器内に圧送し、真空蒸着さ
せる。(―190℃ LNクライオポンプの原理)BNの粉体も吸着され常時臨界対策を行う。
(2)その排気を液体Heで冷却した第二保管容器内に移送しさらに極低温の真空蒸着させる。(−269℃ Heクライオポンプの原理)
(3) 第二保管容器からターボ分子ポンプで排気する。(フィルターレス)
(4)第一保管容器内または第二保管容器が飽和すると逆洗する。
(5)保管容器は出入口はバルブ開閉式とし、蓋を使わない。シート取替不要(メンテナンスフリー)
9 窒化ホウ素の4つの役割
臨界防止、切削、潤滑剤、中性子計測
(1)臨界防止
窒化ホウ素のB10は中性子を吸収し、臨界を防ぐ。
・ペデスタル内に水を張る前に燃料デブリに散布する。
・回収装置のブラスト材として窒化ホウ素を使い、削る最先端部の中性子を吸収。
(2)切削
窒化ホウ素の結晶はダイヤモンド並みの硬さを持つ。
ジェットミルのブラスト材に窒化ホウ素の結晶を採用し燃料デブリを切削し、パウダーにする。
(3) 潤滑剤
圧送する配管内面に窒化ホウ素をコーティングし燃料デブリのパウダーが滞留しないようにする。
(4)中性子計測
燃料デブリの表面、回収装置内のブラスト、配管内にコーティングの窒化ホウ素が自発核分裂で生じた中性子を吸収することにより、燃料デブリの流れを把握できる。亜臨界も事前に防ぐことができる。
立方晶窒化ホウ素はダイヤモンドに次ぐ硬度を持っているが、その熱安定性はダイヤモンドよりもはるかに高い。立方晶窒化ホウ素(CBN)は自己研磨性が高く、CBN製の切削工具は自動工作機械での使用に非常に適している。
10 代替案
エレファントノ−ズ
当初の予定が困難となった場合代替案を実施
(1)アクセス装置代替案
原案のアクセス装置を線量試験した結果など、使用困難となった場合、『エレファントノーズ案』を実施する。
(2)回収装置の密閉の代替案
原案としているペデスタル内に水を張り、回収装置の周囲を氷で囲み、回収装置を密閉する案が困難となった場合、高分子水吸収材を使用する『高分子水吸収材回収装置密閉案』を実施する。
・格納容器内は多数の亀裂があるため、漏水によって回収装置内に水を充填する事が出来ない場合、高分子吸収剤を利用し、回収装置内を固定、冷却する事で燃料デブリの回収を行う。
・高分子吸収剤は一般的に使用されており、安全性は非常に高い。また、凍結融解による性状変化は現れない事が分かっている。
(開発土木研究所月報No.548,1999年1月より)