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「特別編・1」

■戦いすんで日が暮れて/side.A叔父のまなざし



「あ…ぁ……だめだ…って……そんな…の…むり……だ…っ…」



筋肉の張りつめた若い体には、爪を立てても無駄な足掻きだった。

ワイシャツの上を滑る指先に歯痒く唇を噛みながら、揺さ振られる我が身を省みる。

口では嫌だと言いながら、その実、俺の体は隔し様もなく快感に悦び噎んでいた。

敏感な肌に滴る己の粘液を感じて、年甲斐もなく辺りを憚らぬ声を上げる。


「気持ち…いい?…」


耳許の低い声。

いつの間にこんな男の声になったのだろう。

何度聞いても体の芯を溶かす甘い低音に、離れていた月日を思い嫉妬に身を焦がす。

決別を決め、別れを口にし、去って行く背中に一言の声をかけることも自らを戒めた。

想いを打ち明けられ、応えた時、優位な立場に居たのは確かに大人の自分の筈だった。

それなのに、気がつけば溺れるようにこの関係にのめりこんでいたのは、

本来分別あるべき年嵩の俺の方。


「あっ…あっ…」


大きく逞しい肉体に蹂躙され、支配され、絶え間なく悦楽の涙を流す。

今では、あの可愛らしい甥っ子の面影は思い出の中だけとなった。

目を開ければ、男らしい口許を淫らに濡らしてくちづけてくる猛々しい青年がいるばかり。

もがく手を握りこんできた手のひらは俺の手首を軽々と一周していた。

悔しくて、嬉しい。


「もう、いきそう…?」


俺を唆すように耳元で囁きながら、甥は内壁を擦り上げる律動を激しくした。

初めて請われて挿入を許した時、時半ばで突っ伏して悔し泣きをしていた甥っ子 はもういない。

俺の体を翻弄し、満足するまでとことん嬲った後、獣のような咆哮を放ち吐精する。

もちろん俺をいかせた後で、だ。


嬉しくて、悔しい。


甥は男になったとつくづく思う。



俺が愛し続けた甥っ子が、俺の中で暴れ回る。俺の中で、思いをぶちまける。



俺は射精後に満足の溜め息を漏らした。今でも変わらず好きだと思いを込めて。





叔父甥物語5 特別編「戦いすんで日が暮れて/side.A」.end  

by.ひより様