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「特別編・2」

■戦いすんで日が暮れて/side.B  甥のまなざし



 「あっ……あぁ…」



手の中で脈打つ叔父の欲望にちゅっと音を立ててくちづける。

既に見慣れた筈のものなのに、何度見ても愛おしさが胸を打った。

舌でそっと天辺をなぞり中央の窪みに舌先を捩じ込むと、組み敷いた体がピクンと弾んだ。

そのまま喉の奥まで深く咥えこむ。唇で押し包み、歯で甘噛みし、舌で隅々まで形をなどった。



初めて叔父を抱きたい気持ちに襲われたのは、僕を抱き締めてくる体が僅かに小さく感じた時だった。

無謀な願いだと思いながらもそれを口にすると、叔父は黙って頷いてくれた。

約束通り、僕の吐き出す想いの全てを受け止めてくれるらしかった。

何年たっても変わらぬ叔父の僕への愛情が嬉しくて、夢中で突き進んだのを覚えている。

貫かれて喘ぐ姿に、叔父はこんなにも綺麗だったのかと認識を新たにした。



腕の中にあるこの体が、他の誰かのものになるのが怖くて執着し始めた。

毎日のように自宅を訪ねては、連日のように叔父の体を組み敷いた。

仕事があると文句も言わず、黙って言うなりになってくれる姿が嬉しい反面、怖かった。

嫉妬に身を焦がせば焦がすほど、叔父の気持ちが離れていくような気がして。

がむしゃらにその体を捻じ伏せ貫いた、どこまでも子供だった日々。



別れを告げられた時から、早く大人になりたいと何度思ったことだろう。

離れて暮らす間中、早く追いつきたいと何度願ったことだろう。

早く大人になって、追いついて、叔父の言う「苦汁」すら甘く感じる余裕が欲しかった。



  「あぁぁぁ…」

甘い声だと思った次の瞬間、口の中が叔父の吐き出したもので一杯になる。

僕は味わうように舌を転がし、そしてゆっくりと飲み干した。

「…甘いね」喘ぐ叔父の耳元で呟くと、「バカヤロウ…」と照れたように小さく呟く応えがあった。

叔父さん、あなたが好きだ。離れていた間も、この想いは決して色あせなかった。

叔父さん、今、僕はあなたの隣りに居るに相応しい、大人になれただろうか?





叔父甥物語6 特別編「戦いすんで日が暮れて/side.B」.end

by.ひより様