gift







第2部「大人へのステップ」編 (甥っ子視点)


  ■ 愛のテクニック指導?

「あ、あの…叔父さん…?」
どうしていいかわからずに戸惑いの声を上げてしまった。
優しく触れた唇が離れていった時、僕は一人でベットの上に横たわっていた。
(やった!このまま抱き締めてもらえるんだ)
念願がかなう悦びに全身で浸っていたのに。
その予感はあっけなく外れ、僕は一人取り残された寂しさに唇を噛んだ。
(やっぱり…僕をからかっただけなんだ)
涙に滲む目で睨むと叔父さんは見たこともない笑みを浮かべて僕を見ていた。
「さぁ、ぐずぐずしてないで。俺にお前の実力の程を見せてくれ」 え?
「お前の学力程度を知らないとな。俺もどこから教えて良いのかわからない」
フッと笑った顔が大人の余裕に満ちていて、僕は今まで知らなかった叔父さんの
一面を見せつけられた気がした。もてないなんて嘘だ。奥手なんて勘違いも甚だしい。
僕はこの時初めて真実を知って顔から火を噴きそうになった。
こんなにカッコイイのにもてないなんて、前からおかしいと思ってた。
感情を表に出さない静かな人柄が女の人に敬遠されるのだろうと勝手に思ってた。
それはみんな嘘だ。
叔父さんはただ本性を隠してただけだったんだ。こんなにも雄弁に瞳が語ってる…
もてないんじゃなくて、選り好みが厳しいだけなんだとしたら…
そんな人に「慰めてあげようか」なんて…自分の厚顔無知に赤面する。
「ほら、どうした?俺に見せてくれないのか?」
「あ、あの…あの、どうしたら…いいの?」
恐る恐る尋ねると叔父さんは「さっきのように俺を誘ってご覧」と笑った。
真実を知った今、僕は恥かしくてそんなことできないと首を振る。
きっと叔父さんは呆れてる。そう思うといっそう体が震えて何も出来ない。
「そうやって、物怖じしてると手に入る筈のものも手に入らないぞ。それでもいいのか?」
意地悪そうでそうじゃない声が欲望に素直になれと僕を挑発する。
(そうだ!これはやっと掴んだチャンスなんだ)
カタカタと震える手でシャツを脱いだ。引っ掛かる袖口をグイと引き抜いた。
これでもう僕には体を隠す物はなにもない。
僕はこくりと唾を飲むとゆっくりと足を広げた。叔父さんを求める気持ちのま ま、僕の全てを見てもらおうと体を開く。そこはもうしとどに濡れて、言葉に出 来ない唇の代わりに叔父さんの愛撫が欲しいと雄弁に訴えていた。
「叔父さん…叔父さん…」
何もしなくても、されなくても、名前を呼ぶだけでどんどん溢れ出る。
歯を食いしばってもその流れは止められなくて。
僕は一人で達ってしまわないように、両手でぎゅっと根元を握り締めた。
「いや…だ、どうしよ…イッチャウ…イッチャウよ……叔父さん…叔父さん…」
もう限界と思った時、握った手を外されて、僕は暖かいものに包まれるのを感じた。
「いいから、出しなさい」
声が聞こえたと同時に僕は全部ぶちまけていた。それも叔父さんの口の中に…。
(ひぃ…、どうしよう)
滲んだ視界の中、体を起こし口許を拭う叔父さんの仕種が目に入り僕は泣きたくなった。
「こんなことで泣くな。お前は自分の気持ちに素直に従えばいい。俺に遠慮はするな。
これからはお前の吐き出すものは全て俺が受け止めてやる」
叔父さんは泣きべそをかく僕をぎゅっと抱き締めてくれた。


後日
「僕の…アレ。の、飲んじゃって…気持ち悪くない?」
あんな匂いがキツイもの、口にして平気なのかと気になって尋ねてみた。
「お前の零すミルクは甘い」
笑う叔父さんの姿に大人の世界を垣間見た気がする。


この時、僕も早く大人になって叔父さんの味を知りたいと思った。


第2部.end  

by.ひより様