アルシュ紙に交響水彩
大衣サイズ
今年も、岡山県津山市に帰郷した。
息子のひいき目に、いつまでも若く見える母も
81歳になったが、叔母の三回忌に共に帰ったのだ。
母が見ていた車窓から、小学生が歩いているのが見えた。
なにか遠くを見つめるかのような母を
私は、映画の1シーンのように見つめていた。
母は農家の生まれで、苦労したそうだが
母の幼い時代には、モンペを穿いていただろうか?
今のような、おしゃれなランドセルなんて
ありえなかっただろう。
母は、車窓を見て、心の中で
遠く過ぎた自分をダブらせて、見つめているようだった。
まるで、自分が主役を演じてきた
名シーンのフィルムを再び廻しているかのように。
私は、そんな母と車窓のこのシーンこそが
私の人生にとっての
名場面に思えたのだった。
2011年制作 個人所蔵