いちまいの絵



2011年1月

201101
『阿檀の道』

紙に交響水彩 半切サイズ

久高島で、阿檀(アダン)の実を初めて見た。
敬愛する田中一村氏の絵でしか見たことは無かった。
この阿檀のある道を歩くと、音と風と光のある海に続いていた。
雲が上空を浮遊すると青い影が心地良い。

道・・いろいろな道が言われるが
武士道というと、貫くとか妥協しないといった響きの印象がある。
道が付いていることで、生き様や生涯かけてという意味も備わる。
奄美で阿檀を描いた氏も、画の道を生きた。

自分の『画道』が、そう言えるかどうかは

作られた公道に満足するか
それとも、自らと対話して切り開くか
流れ作業や固まりのままか
それとも、脱皮を繰り返すかによると思う。

現代はピサの斜塔よりも傾斜していて
いつ倒れてもおかしくない気がする。
絵の具だっていつまであるか
そんな不安まで感じて描いている。

でも、何も無くなっても
描かずにはいられないのが絵描きの道だと思う。
飢えた人が、砂を食べようとするのと同じように
砂に指ででも描かないと
生きていけないはずだ。

そんな道であるように、この弱い私は願っている。
阿檀のような沢山の実を付けた足跡がとは
驕った希望だから、せめて草が生えるような道でありたいものだ。

新年2011年を迎えられたことを、お世話になった皆様に
心から感謝しております。
どうか良い年となりますように。
今年もよろしくお願いいたします。