いちまいの絵



2010年8月

201008
『ダッコチャン夜空』

厚紙マットに交響水彩
大衣サイズ

練りに練って という言葉があるが
その大切さを認めた上で、もっと大切なのは
現場で感動する情熱(パッション)だと確信する。

帰宅時に光景を見て、すぐに家から画材と厚紙を準備して
月明かりで描き、仕上げは後にアトリエで行った。

何に感動し、何の印象を抱くかは
作家の生い立ちや時代背景も関係する場合がある。
岡山から上京し、小学校3年までいた錦糸町
当時ブームの ダッコチャンが売られていた。
黒い顔に見る角度によってウインクする瞳・・それが私の印象だった。
この夜の月は、私に あの時代の香りを運んできた。
山の色や、光る木々・・多種多様な影の動き重なる色調
そんなもの(現場で自分に見えたもの)を一枚にまとめたかった。

余談だが10代の頃は、懐中電灯を頭に手ぬぐいで巻いて
夜の上水や樹木や空をスケッチした。描かないと眠れなかった。
でも、後の映画『八つ墓村』で山崎努さんが演じている男を
近所の人が連想するだろうと、懐中電灯は止めた。