いちまいの絵



2009年6月

200906
『雨傘太鼓』

紙に交響水彩 八つ切りサイズ
個人所蔵

ゴールデンウィークも終わり、6月ともなれば梅雨が来る。
田植えの時期に見えるおたまじゃくしは、
温暖化の影響か、大人となって田んぼを蛙の合唱の場としている。
季節がずれ、風味が損なわれ、歩かなくなり、
五感を意識しなくては、
日々の喧騒と雑事に流されそうになる。
子供の頃、雨は時として苦にならなかった。
長靴で、思いっきり水溜りにザブンとすると、
汚れた水の中で渦が出来、海底基地が爆発したように見えた。
そのときの長靴は、あたかも潜水艦のようだ。
傘に勢いよくバラバラと落ちる雨粒は、
太鼓を鳴らしているように感じ、傘を傾けて音を変えた。
水玉は水の精で、タップを踏んでいるのかもなんて・・
雨の日を歩く子供は、イマジネーションの塊だった。
以前からあったモチーフを、いくつか下書きしていて、
自然に描きあがった。
同じ題名で、数年前に発表して巣立った作品もあるが、
これは今年巣立ったものだ。他の題名はなじまなかった。