いちまいの絵



2009年5月

200905
『涙の受け皿』

紙に交響水彩 四つ切サイズ

雨上がりの坂道を歩くと
大きな葉に いまにもこぼれそうで落ちない雨粒
葉脈と葉脈の境の表面張力で落ちないのかなあ。
それを見たとき、まるで涙の受け皿のようだと感じた。
枚挙に暇が無いほど悲しい事件が起きて
流される涙は・・地に、体に、床に・・でも
現代という荒れ廃れた地には 涙の水分もすぐに乾燥し
また不幸な出来事に 悲鳴や絶叫が世界のどこかで流れる。
こぼれないで保っている葉の受け皿・・人が癒されるのは
もう一度、青々とした緑のように心を再生させ
私達を育む母なる地球だと感じる。
この葉を見てから、スケッチして、こうした作品になるまで
約10年かかった。
展示して、『この絵を是非自宅に飾りたい』という人は
なかなかいないかもしれないが、自分が本当に感動したものを描くのが
作家だと私は信じる。