いちまいの絵



2008年10月
200810
『青富士』

紙に交響水彩 サイズ 四つ切

私は岡山から幼稚園の頃上京し、小学校3年まで墨田区に住んだ。
昭和30年代のことだ。

富士山を知らない日本人はいないだろう。
世界的にも、言わずと知れた名峰だ。
誰もが“頭を雲の上に出し 白い雪を頂いた"富士をイメージする。
私も 子供の頃 父と五合目まで登った記憶はある。

でも、あまりに有名で、あまりにイメージが定着していて
あえて描きたいと思っていなかった。
偶然絵を観ていただいた方が、富士山の絵を描いてもらえないかと
依頼され、自分が取材して何かを感じ、感動のうちに描いた作品で
見てもらってからにしたいと お話した。

山梨の大月から大石公園の近くの宿に タクシーで夜の9時過ぎに向かう。
河口湖に添う車窓から見えたのは
あまりに明るく大きな月と
美しい青に輝いた 初めて見る印象の富士だった。
かすかに 登山者の灯りの軌跡が見える。

私は見惚れてしまった。
宿に付いて 宿で習作を 朝仕上げ
それを基に 四つ切の画面に吐露した。
やはり 富士は 存在感がある。
どこにも無い山だと感じた。
この他、連作で富士から受けた印象を同時に2点描き上げた。
今年の11/24からのT-BOXで展示する予定だ。