いちまいの絵



2007年9月
200709
『月の川』

ホワイトワトソン紙に交響水彩 四つ切りサイズ
個人所蔵

二階で制作した後 眠っていた。
真夜中に まぶしくて眼が覚めた。
澄んだ空を照らす月明かりだった。
ベランダに出て見ると
見渡す川に月の分身が沈み、
ゆっくりと泳いでいた。
空は、太鼓の幕のように
蒼く一身に張っていた。

それにしても明るい
愚鈍な私を起こしたほどなのだから
どこまでも輝いていて美しい。

もう3月になろうとしているが
頬が寒い。
澄み渡った空だから
こんなにも月が大きく見えるのだろうか。

参考に写真にも撮ったが
全て嘘の色、場面、印象になってしまって
私に言わせれば 写嘘だ。
絵空事と言うが、人が感じた(居合わせた)
空気や色や場面は、私には絵でしか表現できないのだ。

蓄積していたイメージが ようやく放出し
先月いっきに制作し、作品となった。
描いて展示して、翌日巣立った。
購入してくださった方は
「自分に元気をもらえる気がして」
里親になってくださった。

月は表面がガラス系の物質で成り立っている
と言われている。
だから、日中の太陽が沈み 常夜灯となる。

闇の岐路に立たされた人に、道を照らす月
私が 月から元気や勇気をもらっているように
私の絵も そうした表現の産物でありたい。