いちまいの絵



2007年6月
200706-1  200706-2
『猫の中のトラ・猫の中のキツネ』

ワトソン紙に交響水彩 八つ切りサイズ 個人所蔵

甥っ子がまだ幼かった頃、
よく私のアパート(東京の外れ)に遊びに来た。
その時初めて、生(なま)の生きている動物・・
つまり『猫』に触れた!それも恐る恐る。

少し成長して 甥っ子は 駅前で道行く人に叫んでいた。
『猫を飼ってもらえませんか』
『猫を飼ってもらえませんか』
公園で捨てられて怪我をしている猫を放って置けなかったのだろう。
しかし自分の家では絶対に飼う許しは得られないだろう
枯れた喉の余韻のあるまま、引き取り手の無かった小さな命を抱いて
帰宅して今あったことを話すと、情熱は母を動かした。

その猫は先月、陽だまりのある部屋で
16年の生涯を閉じた。
実家で時折描いていたのが、その猫で
憮然とした『俺は俺』というときの表情は雄雄しく
目じりが下がり、何か申し訳なさそうにする表情は
ある意味、芸達者なキツネのような気がする。
同じ猫(タマ)の違う面を 一枚の額に装丁して展示したところ
気に入っていただいた。