Severn      LOA 14'7",B 25",W 25lb.(LOA 4445mm,B 635mm,W 11.8kg)

 
CLC社の少し古い平水用タイプのカヤックです。現在HPで探しても設計図は販売されていません。それはともかく工作も乗るのも面白いカヤックです。Builders' Forumには It is a very lightweight,small "tortued plywood"kayak..とか It is truely a "tortured plywood"design. と書かれています。作ってみるとやはり思うようにはいかずに苦労することになりました。が、半分以上は合板の質(均一さ)にあると感じています(負惜しみが半分?)。なかなか左右対称で、凹みのないスムーズな期待した曲面になってくれませんでした。今になっては楽しい思い出です。
tortued plywood kayak とあるように「均一な最高品質の3mm厚合板(勿論4"x8")を用いよ」と要求されますが日本には見合うものが手に入りません。ですから仕方なく4mmでいくことにしました。このカヤックの売りの一つである超軽量‥は諦めねばなりません。しかし操作性や機動性は確保できるでしょう
2艇のSevern(ハルの色分けでRedとGreen)を作りましたので、良いところ取りで混ざった写真ですが並べてみました。例よって紙芝居の始まりです。
パネル図から合板にラインを書き写し、切り取るのは他のボートと同じ作業です。スカーフ継した2枚のボトムパネルが出来ました。デッキと接合する辺に細木(シアークランプ)を取り付けています。中央の約1/2をステッチし両端近く(指定あり)を2台の馬にのせます。中央部宛木(この治具は重要です)のある部分に重しをかけ指定通りに引き下げます。ボトムパネルが指定通りに弓なりになっていることを確認できたらステッチの上から樹脂のパテとガラステープで固めます。さらにより中央部は2重にしたり裏側(ボトムの外側)にガラスクロスを貼付けたり‥‥このあたりの微妙な処理が事後の曲面の出具合に大きく影響します。ということは最初の時点では予測し得ませんので一発で極めることが難しいのです。一艇目で問題を把握し2艇目でそれを克服する‥というわけです。実際にやってみると実感出来るはずです。良質の合板なら掛かる力に応じてスムーズな曲がり(首尾線方向の反りもですが、凹凸が目立たないことも重要です)が期待出来るはずです。このカヤックにとっての最初の難関箇所①です。ということは工作上の一番面白い過程でもあるわけです。

   

  

硬化が十分確かめられたら下図のように徐々に両サイドを寄せていきます。合板のツッパリに負けないように両端部が合わさるところまで絞っていきます。合板はよじれながらも見事な曲面を作っていくはずです。さて、現れた曲面の出来具合は?難関箇所②です。 小細工の修正でいけるなら幸い、もしかしたら固まったガラスを切ったり合板を削ったりパテで誤魔化したり‥と経験がものをいいます。OKとなれば樹脂パテで固着します。(注:固定・固着する前には必ず糸と水準器と治具等を用いてボートの曲がり・歪み・捩れをチェックすること。シアー部の横木はそのためのもの
   

シアー部となるデッキとの接着面は部材の巾一杯になるようにデッキパネルをあてがいながらベベルをとります。剥がれるのを絶対に避けるための重要な作業です。前後のバルクヘッドで前後に気密室を作ります。密閉してしまうと中の空気の膨張収縮の繰り返しでハルが痛めつけられる、特に夏の暑い気温時に水につけるとハル・デッキが凹むはず。よって木栓用の小さな穴を忘れずに。ハッチでもいいがもったいない。18Rと24Rのデッキビームとカーリンを取付けます。ハルの捩れ・たわみ・よじれ‥ことあるごとにチェックを忘れずに。
    

ステム部に樹脂を流し込む。ステムの強化は方法にいろいろあるが絶対に必要です。
曲率の異なるデッキを前半部・後半部に分けて貼りコクピット横で段差・隙間なく繋ぎ合わせます。シアーに沿ってベルト下に木片(厚いめの棒木)を当て接着部に浮いた部分がないようにします。固着するまでの対策はこのベルト式が決定版と思う。ベルトによる波うちがなく決まるはず。土台のストロングバックを回してデッキをまんべんなく押さえ込む。
  

エポキシ樹脂でグラッシング処理を行ないます。

[割込みトピックス] 我家の宝物、かれこれ30年にわたり累計500輪以上咲かせている鉢植えの月下美人、現在も記録更新中です。
1夜の最高記録は31輪。もう一鉢の兄弟株があります


       

コーミングの取付とサンダー掛け。首尾線のチェック(今頃、歪みを発見しても時すでに遅しですが)。
   

ガンネルの取付け。S&G工法では特にハルの固さ(捩れ防止ひいてはデッキの剥がれ防止)の確保上、しっかりしたガンネルは取付けておきたい。ボトム曲面に気に入らない箇所があり修正した痕が丸見えです。ペンキを塗らなくっちゃ-。
  

塗装の下地処理。小さい子どもたちですがここでのトレーニングよろしく完成後の2艇に琵琶湖で、桂川で乗っています。
  

仕上げ処理をして完成です。仕上げを美化せんがための苦心の写真です。
     

その後、ボトム外板を白から緑に塗り替えました。ボトム中央部にわずかにキールラインが残る Severn-R と完全にラウンドボトム仕上げの Severn-G。なんとも小振りのかわいらしいボートです。
  

いざ、琵琶湖へ
  

これが設計図通りののコーミングです。チョッとしたアクセントを付けてみました。1/2のスケールモデルです。
   


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