Guillemot Free Plan
http://www.guillemot-kayaks.com/guillemot/information/kayak_building/
stitch_and_glue_construction/free_stitch_and_glue_kayak_plans%20


Guillemotの数あるデザインの中で、S&G工法のNight Helonクラスのフリープランです。HPの中にFree Planとしてオフセット表(Panel and Forms)が載っています。オフセット表の見方が分る方なら合板への書き移しは難しくはないでしょう。
しかし all units are Inches 表記,しかも10進法の小数点表示です。私はVANCOの15”スケールをもっていますがこれがインチを10等分目盛になっています。がこれを用いたことがありませんでした。ようやくここで使うのかな?いいえ、実際のところ使う気になりません。
試しに60インチは25.4mmx60=1524mm、188.69インチは188インチと69/100インチのことなので25.4x188.69=4792.726mmとなります。Free Planのパネル用オフセット表のほんの一部を取り出して見ました。上表はHPのもの、下表は私がミリに直したものです。数値は何十もありますが電卓の定数計算を使えば簡単で、面倒なだけのことです。ただこのやけに細かい値ははたしてやるだけの意味があるのでしょうか。どこまでが役にたつのか疑問です。これは単に換算しただけのことだからです。各種の単位系がありますが単に換算するだけでは割切れない値の羅列した扱いずらい表を作るだけのことになります。もちろん有効な値にするためにどこかで四捨五入するわけですが。
とはいえここでは換算は極力しないでインチのままでいこうと思います。
Position 60 188.69
Bottom 30.31 22.63
Deck 20.56 -
Side 4.56 -
Position 1524 4792.726
Bottom 769.874 574.802
Deck 522.224 -
Side 115.824 -
実は、このFree Planを作るにあたり換算の面毒さではなく別に難点があることが分りました。寸法通り切出しステッチし進めていってもハルの上部(デッキ部)と下部とがどうもしっくりこないのです。Guillemotのbuilder's blogにもそんな話があるようです。思うにステッチとグリューのタイミングとか手順をかなり慎重にし、仮接合のチェックを何度もする必要があります。上下とも安易に固めてしまわないように気をつけなければなりません。Freeに釣られて作る始めてのボートにするのには少なからず困難が多いと感じました。
1.モールド原寸図作成とパネルのロフティング。モールド・パネルのオフセット表をダウンロードしそれをもとに作図する。この時点でラインが決まらない予感が‥。    

    

2.モールド・パネルの切出しと繋ぎ合わせ。ハルの両サイドに3枚ずつのパネルがあるのでH&G工法とはいえ多くのモールドが必要になります。
つまりステッチだけでは形が決まらないわけでモールド(一部はバルクヘッド)に頼ることになります。まだ緩いステッチの段階です。                                                      
    

    

3.フットブレース・スケグケースの製作。
足長に合わせるためフットブレースに櫛状の台を作る
    

4.山型デッキの製作と接合調整。
デッキをオフセット表通りに作りグラステープ・エポキシ樹脂で作った。
そしてデッキとハルの仮合わせをしたところピタッとはいかずその後の貼り合せに苦労する。まだ仮接合で様子見の段階です。
   

    

5.ハルの固着。内部はコクピットのみグラッシング処理です。両ステムにエンドボー処理(ステムに樹脂を流し込んで強化)をします。
    

  

6.ハルとデッキの接合。最も難儀した工作箇所の一つでハルとの接合がピッタリとはいかず、特に両端部は縛り抑え込んで締上げ
固着させました。十分な整合チェックの前にハルとデッキの固定が早過ぎたというわけです。内部に防水のためエポキシを塗った後
ハルとデッキの接合をします。ゆがみ・捩れ等には常にチェックしながら。
    


  

7.ハッチの製作と取り付け。はめ込み式です。
    

8.グラッシング。下地処理、塗装。 外部は全面ガラスクロスをエポキシで貼り付けます。ツートンカラー仕上げに決定。
     
 

    

9.コーミング製作。スケグと共に切出しする。コクピット後部にフレームを入れ後部バルクヘッドの間をもの入れにしています。 
    

10.シングルパドルの製作。:2mmシナ合板を治具で挟みつけて湾曲させつつ圧着し、丸棒の切れ目に差込み接着しまし。
外周部をガラステープで強化しています。(パドルの工作例としてとりあえずシングルパドルを載せています)
    

11.仕上げ。コーミング・サイドパネル・デッキのセンターラインを濃いコーヒー色、他は小豆色。赤味が目立つ角度からと渋味が出た角度からの写真。
   

   

12.カートップ。車高が低くカートップの楽な旧型ステージァ、特にルーフのレールが前後最大巾に利用出来て、長尺物の積載には有利です。
他車のレールは長くても実質巾がとれないかほとんど飾りである場合が多いなかこれは最高。しかし燃費は最低を覚悟すべし。
   


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オフセット表におけるフィート・インチの表記法について


ヨットやカヌー・カヤックの製作をはじめるようになってからフィート・インチを使うことになりました。ずいぶん昔のことです。それまでにも16ftのFireball、Int.14、12ft-Skiff、26フィートのクルーザーとかフィートは使っていました。しかしメートル法が使われている場合もありました。505、470、420などはその代表例です。そのヨットがどこの国から生み出されたかによって銘々上の差が出ているのでしょう。

ある時ディンギーの製作を決心し設計図を購入して、さあはじめようとすると 6"Buttock 1-03-5 とか 6"Buttock 1-03-5+ などとなっています。当時大変戸惑ったことを懐かしく思い出します。今こそ慣れてしまいましたが。インチはインチでも上記のFree Planのように10進法による表記もあります。私はVANCO OA SCALE (made in japan) のインチ尺を持っていますがインチ以下は10等分です。あまり使ったことはありませんでした。ちなみにフィートは「’」、インチは「”」で表します。

12インチで1フィートになりますから10進法に慣れ親しんでしまった者にとっては使い難いものです。つまり 15'10"のボートは12"x15+10”=180+10=190”となり、メートルに(実際にはミリ)換算するには1"=25.4mmなので 25.4x190=4826mm約4.83mのボートだとなります。
(feet-inches-eighthsでは15-10-0 と書けますがボートの長さにこのような表現をしていることを見たことがありませんからこういう使い方はしないのだと思います)。

さて、1-03-5+ というのは feet-inches-eighths という表記法で読んで字のごとくフィート+インチ+1/8インチをあらわします。 inches の部分は 0 から 11 までの数値が入りますから2桁になります。 eighths のところは 0 から 7 までの数値(1桁でよい)です。、最後に + が付くこともあります。1/16インチすなわち sixteenths のことです。インチのメジャーかスケールを持っていれば分るのですが1インチの長さが10等分ではなく(前記のように10等分のメジャー・スケールもあります)16等分ないしは一部が32等分にしてあります。つまり1インチ内を半分に、半分に‥と目盛るわけです。4回やれば16等分したことになります。端から 1/16, 2/16, 3/16, 4/16, 5/16,‥‥,13/16, 14/16, 15/16, 16/16 となり、勿論普通には1/16, 1/8, 3/16, 1/4, 5/16, ‥‥,13/16, 7/8, 15/16, 1 ということです。アメリカのテープメジャーで1インチのなかに刻みの線とともに 1/8,1/4,3/8,1/2,5/8,3/4,7/8 の7つの分数が記入されていてそれが全長にわたり延々と出てくるものがあります。実用的な最終の長さを1/8インチ=1.375mmにしているわけです。

つまり feet-inches-eighthsの表記では 1インチ以下の長さを先ず1/8刻みで読むわけです。1-03-5なら 5がそれにあたります。ここに 8以上の数字が入ることはありません。ここまでで 1feet 3inch に 1/8 inchx5=5/8 inch を加える‥となります。最後に+があればそれはさらに短い長さの基準として1/16 を加えます。もうかなり微小な長さなのでボートのオフセット表では 1/16 を加えるか否かだけを扱います。最小単位が1/16というわけです。eighthsの場合と同様 2以上が入ることはありません。1/16が2つで1/8になりeighthsに格上げするからです。3/16 が欲しいからといって +++ とはしません。それは2/16+1/16 つまり 1/8+1/16 となって最小値はやはり 1/16 を使うことになります。よって数字を入れるなら 0か 1だけです。数字使用を止めて1つあれば+を、なければ無記入としたわけです。1-03-5+++でなく1-03-6+に変えなければなりません。試しにここで無理やり作った 1-23-15+は実際有り得ないものです、が正しく表すなら 3-0-7+になるはずです。いかがでしょうか?

インチからmmに換算するな ら 1foot=304.8, 1inch=25.4, 1/16 は 1.5875mm ですから
   1-03-5+= 304.8x1+25.4x3+25.4x5/8+25.4x1/16=25.4x12+25.4x(3+5/8+1/16)
                       =25.4x(12+3+5/8+1/16)=25.4x(15+11/16)=25.4x251/16=398.4625

となりました。冗漫に書きすぎて分りずらいですから改めて 先ず1-03は15”、それに8分の1=3.175だから 5つ分で 25.4x15 +3.175x5=396.875 さらに1/16=1.5875なので合計して398.4625です。 が、いつもこんなことをしなければならないのでしょうか。

私はインチメジャーを購入してインチをそのまま使うことにしています。換算はしないのです。作業では起点に0を合わせメジャーを引き伸ばしたら先ずフィート単位でドンと長さを取り、次はインチ単位でポンポンポンと進み、次は1/8単位でポン・・・ポンと足を伸ばし、最後に一目盛り(1/16)だけ延長させます。何のことはない表記通りに区切りをどんどん伸ばしていくだけです。普通のメジャーの使い方と変わるところはありません。しかしメジャーの数値を読むのではなく区間を取っていく‥そして終点に針を立てるという感じです。くどくなりますが 1-03-5+
ならフィート1個を取る、続いてインチ巾を3つ取る、さらに1/8巾を5つとんとんとんとんとんとすすめてあと最小巾(1/16)を1つ取ったら終点。先ず大きな区間を取れるだけ取り、より小さいつぎの区間は何個、さらに小さい区間は何個‥と取っていきます。正直なところ実にばかげたことをくどくど書いていることに恥ずかしくなりますが、換算で得た覚えずらい数字をメジャー上で探す‥ことはしない。目盛りの数字は読まないことがポイントです。普段のメジャーの使い方と変わらないといわれる方も思いますがちょっとした感覚の問題です。メジャーに直接 1/8,1/4,3/8,1/2,5/8,3/4,7/8 を書き込んだものがあることに納得です。とにかく換算はしないでインチのままでいく‥インチのメジャーを要領よく使うだけのことを言っています。

自分の都合でオフセット表の基準線をずらさねばならないことがあります。計算に頼るなら大量の数値の引き算か足し算が必要になります。例として 3つの数値 2-01-3+、1-11-7、1-05-5 から 1-03-6+ を引いてみてください。答えは記事の最後に載せてあります。
こういう計算はしないで済ませられないものでしょうか。上記の区間を数える考え方でいけば区間の何個分かをずらすことで作業が楽にできます。出来るだけ切りの良い巾をづらす‥と言うわけです。メジャーのしかるべき区間にテープでも貼りつけてメジャーを使うというやり方も出来ます。計算は極力止めにしましょう。

以上、結論として「インチのままでボート作りをしよう」というだけのことでした。いかがでしょうか。オフセット表から縦軸・横軸の碁盤を作る際にほとんどの場合 2インチの巾をとります。25.4x2=50.8mmとなりますが、まさか 正直に50.8mmの巾をメートル尺でやる人はいないのではないでしょうか。インチメジャーを使えば2インチ毎の巾を取ればよいのです。ピッタリ取ることが出来ます。解説本ではときどき切りの良い50mmでやる(0.8は無視する)という話もあります。一つの抜け道と思いますがちょっと後ろめたさを感じざるを得ません。私はそこで一歩進めて「インチのままでいきましょう」と言っているわけです。
               答:私は0-09-5、0-08-0+、0-01-6+になりましたがいかがでしたか?