![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/0e/414f11f1082f935afea10f1fbae7667c.jpg)
(写真は、ぬかるみ道のため「実方中将の墓」へ行くのを断念する芭蕉と曽良 )
前回の「医王寺」に続き、今回は「実方中将の墓 」です。
平安時代中期の公家「藤原実方(さねかた)」は、36歌仙の一人で、「小倉百人一首」にも名を
連ねる和歌の名人です。![](m_0151.gif)
なかなかの美貌の持ち主で、かの清少納言をはじめ、20人以上の女性と関係があったとも言われ、かなりのプレイボーイだったみたいです。
驚き!![](cat_5.gif)
光源氏のモデルとして、一番有名なのは、前回ご紹介した「もじ摺り石」の「源融」ですが、他にも
いろいろ説があり、この「実方」もその一人だそうです。
ある時、一条天皇の面前で歌会があり、実方の歌について藤原行成が批判したため、2人で
口論となり、怒った実方が行成の冠を奪って床に投げ捨てる、という事件が起きました。
実方は、天皇の怒りを買い、「陸奥の歌枕を見てまいれ。」と、左遷を命じられました。
陸奥守として東北に赴任した実方が、ある日、「笠島道祖神社」の前を馬で通ろうとした時の
話しです。![](m_0249.gif)
地元の人々が、神前なので馬から降りて下さいと懇願したにも拘わらず、実方は「なんの、
こんな神!」と無視して通り過ぎようとしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0200.gif)
すると、突然、馬が暴れて、実方は落馬し 何と!、そのまま亡くなってしまいました!![](m_0249.gif)
うそっ〜?!![](face2_shock_s.gif)
蔵人頭になれないまま陸奥守として亡くなった実方は、その怨念により、雀に転生して、御所の
殿上の間の台盤の上の食物を食べたそうです。
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また、都の賀茂川の橋の下に、実方の亡霊が出没するとの噂も流れました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hunayurei.gif)
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図説 地図とあらすじでわかる!おくのほそ道 (青春新書INTELLIGENCE 399) |
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青春出版社 |
奥州街道沿いに、城下町・白石を過ぎて、笠島(かさしま)に入った芭蕉は、ここ「笠島の道祖神社」の神罰で落馬して死んだという、実方中将の墓を訪ねたいと願います。
当時は、この実方中将の墓自体が、「笠島」として歌枕になっていたのです。
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西行法師がここを訪れた際に、
”朽ちもせぬ その名ばかりを とどめ置きて 枯野のすすき 形見にぞみる”
と詠みましたが、芭蕉は、この西行が詠んだすすきが未だある、と地元の人に教えてもらいます。
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芭蕉は、実方中将の墓へ向かいますが、雨が降って道が悪いことや長旅の疲れのため、
「このぬかるみの道では、笠島を訪れることは出来ない」
と断念し、無念の思いで句を詠みます。
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”笠島は いずこ五月の ぬかり道”
話は3か月前に戻りますが、芭蕉が、奥の細道の旅に江戸を発つ際に、笠島出身の芭蕉の門人が、餞別の句として、”武隈の 松みせ申せ 遅桜”を贈りました。
(芭蕉が、笠島に着く頃には、もう桜も散っているだろうが、せめて武隈の松だけはお見せしたい
ものだ。)
この話しを踏まえ、芭蕉は、実方中将の墓の近くの「武隈(たけくま)の松」(二木(ふたき)の松)に
立ち寄って句を詠みました。
”桜より 松は二木(ふたき)を 三月越し”
(二木の松は、奥の細道の旅の今日までの3か月越しに私を待っていてくれた。)
(「二木の松」が歌枕 で、「松」は「待つ」に、「三月」は「見つ」に掛け、「二木」(ふたき)は「三月」
(みつき)に数を揃えています。)
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我々のパック旅行のバスは、「実方(さねかた)中将の墓」へ向かいます。
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芭蕉が立ち寄りを断念したという実方の墓は、仙台の南の名取市の田園地帯の山際にありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_walk.gif)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/ac/8f2ca2e56f6354d6643e662d24530059.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/e3/c54f6fb0b94cb3f48527f93130b70725.jpg)
小川に架かる実方橋を渡ると、訪れる人も少ない感じで、実方を偲んで訪れたという西行が
追悼歌に詠んだ「形見のすすき」がありました。
![](m_0151.gif)
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悲運の死を遂げた「実方中将の墓」は、木の柵に囲われて、写真のひっそりとした場所にあり
ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/e4/5ae57b7175525162ebd2749a3acdd6dd.jpg)
(左奥は実方の歌碑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/e6/9dbf9dfead06730995d5801dd9b1536c.jpg)
(実方の墓標)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/f4/6aaa95f1849c8bc997405e013f9aa6a8.jpg)
(”朽ちもせぬ その名ばかりを とどめ置きて 枯野のすすき 形見にぞみる” 西行)
墓の周辺には、実方を偲んだ上の写真の「西行の歌碑」と下の写真の「芭蕉の句碑」がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c8/7ae7ebddc214e2bfc672599b94dc5879.jpg)
(”笠島は いずこ五月の ぬかり道” 芭蕉)
パック旅行のバスは、「実方中将の墓」を出て、近くの「武隈の松」(「二木の松」)へ向かいます。
![](cars_train.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/74/df8e51e8051712d82b3d60c2fe0114af.jpg)
平成26年に「おくの細道の風景地」として国名勝に指定された「武隈の松」は、根方が二木に
分かれた形の老松で、現在の松は七代目ですが、芭蕉が見たのは五代目の松らしいです。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/bf/cc15c3a38f3284eab229eed0f9c2a301.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/60/a83423b5bdd14ce1f2d8a88f8172c4c2.jpg)
(”桜より 松は二木(ふたき)を 三月越し” 芭蕉)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/32/3eb15a2d15b81f5663b00d13fd194a47.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/0a/99930b21f16ade350f1ae4181e7a7101.jpg)
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二木の松の前の歩道を少し歩くと、神社の参道の入り口があり、その先に赤い大鳥居の「竹駒神社」がありました。
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竹駒神社の境内には、上の写真の”桜より 松は二木(ふたき)を 三月越し”の芭蕉句碑がありますが(写真左)、これは1793年の芭蕉百回忌に立てられたものだそうです。
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竹駒神社の竹駒稲荷は、 伏見稲荷、笠間稲荷と共に、日本三大稲荷の一つだそうです。
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