第1話 直美と哲の接近の訳

その日

哲のスマホに直美からメールが

また

届いた

「哲君 元気してる?

ねえっ

今日メールしたのは

特別な理由があるの

この前から哲くんに

忠告していたけど

愛華のこと

もう 私 彼女に限界超えて頭にきちゃった。

 我慢できないの

貴方が 瞳のことで

自殺を捨て身でくい止めたくらい

思って

頭っぱいなのは 判るの

 

でも

私の忠告を無視して

最近 おかしな服を着てる愛華という女と

いつもいっしょにいるのは

耐えられないわ

私の忠告を無視した報いを 貴方は受ける事に成る

覚悟してちょうだい」

 


 

(この時の哲の状況説明)

この時哲は 瞳の父親から学校の機密文章のハッカー進入で呼び出され

補導しない見返りに真夜中の失踪で自殺が心配な瞳の監視活動を頼まれ

知らず知らずのうちに瞳の生活に深入りし過ぎて、瞳の自殺の現場に立ち会ってしまう

精神的に追い込まれていた哲は、心の救いを

路上ライブで出会った愛華と轟に接触して、そのメンバー入りに求めた。

哲は二人の仲間が出来た事で落ち着きを取り戻し、そのことが深い仲になった瞳にも伝わって

瞳も精神的なダメージを回復しだした

哲の身の回りの全てのことが、良くなる前兆にあった矢先

 

運命の出会いが訪れた、それはビデオレンタルショップの出口での直美との出逢いたった。

直美は不倫関係で生まれたアメリカ系フィリッピン人の母メイの娘で、五歳の時メイは癌で亡くなる。

それからは父親の蛍太の元で生活したが、血の繋がらない育ての?母 久留巳から当然のごとく

疎まれ、直美の学校に行ってわざわざ直美の出生の秘密を言いふらしてしまった。

そのことが原因で学校でも虐めを受けて、とうとう登校拒否に陥ってしまった。

父敬太の長男 香季は潔癖で融通の利かない真面目な男だが、

唯一直美の心の支えになっていたが、父親敬太に失望して

突然ある日悩める直美を一人を残して

家出して暴走族の隊長になってしまう。

時を経て決心して漸く家に戻ると、直美はとうとう自殺寸前まで追い込まれていた

香季は父 蛍太から直美の産みの母メイへの思いを聴かされ、父への信頼を取り戻し

直美を母久留巳の手から救い出す為に、二人で家出をする

心許せる無二の友遊兎に一時 遊兎と同棲中の建築士夏美が建てたログハウスに

直美の身柄を任せるのだが、女にだらしない遊兎が、幼い直美まで手だしてしまう

同棲中の夏美は 元女番長で気性の激しい女だった

猛烈な嫉妬心から自分の元彼をある日よんで騙して直美と肉体関係を持たせてしまう

直美はズタズタにされた心で、二度も自分を置き去りした兄 香季を恨むが

兄なしでは生きていけない我が身を頭が可笑しくなるほど呪った。

そして兄に直接 復讐するかわりに兄と人間関係を深くしていった者を

次々に復讐して 最終的には兄を追い込み復讐する事を誓う

学校に戻った直美は 親から捨てられた数奇の運命の男 雨道武と巡り逢い

自分の人生と引き換えに 復讐の協力の契約を結ぶ

 

直美は この時から雨道武と協力して、一番初めに復讐しなければならない相手

半年も掛けて夏美と夏美の元彼 旗 界(はた かい)の日常生活の行動を密かに、探っていた。

探りが進むに攣れて

夏美の人間関係から彼女の支援者であり資金提供者である

ある人物が浮かび上がってきた 

それは資産家でブテックの経営者はじめ多角的に事業展開しているその人物であるあの

瞳の父の存在であった

そしてその娘のと深い関係を結ぶという男の存在も浮かび上がってきた

偶然にも哲が最近になって知り合った

紫の予知夢に出てきた

愛華の情報を聞いた時は 

「やっぱり

私の運命は 決まったわ」

と呟き

興奮して直美は一睡もできなかった

一ヶ月後に雨道武は 直美と市美術館で恋人同士を装って

再会した

「直美 

メールでお前に知らせた哲という男だが

有名なハッカーで 脅威の情報収集能力者らしい

奴を 俺たちの計画に引き込んで利用するってのどうだ

尾行や盗聴で一ヶ月近く掛かる情報も サイコロを転がすように

容易く手はいるぞ

肝心の夏美と元彼の情報も哲という男に探らせたらどうだ」

「うん

それは いいね

それじゃ

もう 尾行や盗聴しないくていいよねっ」

「?・・・・・いゃ

それも 続けるさぁ」

「たけし君 それってかなりヤバイょ

犯罪じゃない」

「そんなの判ってるさ

俺は 人の私生活の禁断の情報を土足で入り込んで

勝手に横流しして そいつが苦しむ様子を聞くのが

たまらなく気持ちいいんだ

 

人の不幸は 蜜の味さぁっ

 

わかるか?

この言葉は 俺のキーワードだ

俺と 関係した奴どもに きっとこの言葉を繰り返させてやるっ」

 

「・・・・

いくらなんでも

私 そんなのついていけない

あんた ほんとうに

頭おかしいの」

 

「今頃 気がついたのかお嬢さん

もう 俺との契約は破棄できないだぞ

覚悟してんだろなっ

それとも 俺から逃げ出したいか?」

直美後づさりして 壁に寄りかかったが

呼吸を整えて

また

足の矛先を 雨道に向けた

「・・・・・・私

復讐を契約した時から

 

覚悟してるょ

いいから 続けて」

 

 

 

「じゃぁー

その為には お前に哲に近づく芝居して欲しい」

「・・・いいょ」

 

哲と直美のビデオレンタルショップでの出会いは、偶然ではなく

雨道の発案で直美も納得して意図的に遂行された

つまり・・・目的達成の為には ことの善悪や

関わりあった人の幸・不幸を平気で無視する雨道の後ろ楯があった。

雨道の狙いは、広がり

哲のハッカーとしての才能を利用して、やがて

早川武との繋がりに 近づいていった


哲は直美からの不穏なメールを気にしながらも

直美に会って問いただすことはしなかった・・・が

その日から哲の人生は更に最悪の迷路に迷い込んだ少年のように

混迷を呈していった

その理由は

突然 瞳との連絡が取れなくなったことだった

哲は持ち前のサイバー技術で瞳の行方を必死で追跡すたのだが

漸く 

たどり着いたIPアドレズ情報は

洋子という少女と洋子の恋人に成りすました雨道だった

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第7章 第1話 夏美と界の出逢い