第3話 再会

「それから今日は パパの発案で聾学校や盲学校のハンデのある同世代の高校生を招待しています

とステージの右端の集団を指差した。

その方角を視線を移すと オリジナルのTシャッを着こなしたりして

かなりイケテルオシャレをした集団がにこやかに手振りながら同世代のオーディエンスに爽やかに挨拶する。

愛華は舞台の隅の方に移って手話でヒロのトークを伝え始めた。

スポットライトをミラーサングラスで反射させながらヒロがひたいの汗を拭い喋りだす

 

「こんばんは

今日は

DreamBoxsに遊びにきてくれて ありがとう

ネットで呼びかけて

全国から来てもらったんだけど

実は 今日集まってもらった仲間達の中には

いじめや登校拒否それに補導や生活指導を受けた経験者が多いんじゃないかと思う

掲示板にもその種の悩み経験者に呼びかけてあるからね。

まぁー だから、皆同じ悩みを抱えた仲間ってとこかなぁ

だからといって 家に閉じこもっている居るのは

かなりヤバイぜ

このさいだ、心に溜まった不満をぶちまけようぜ

そして 過去に囚われていないで

 

皆 このDreamBoxsで いい夢みようぜ

と先ほどの愛華から紹介あったハンデ集団にも呼びかける。

そういわれてオーディエンスの男どもの様子を見直すと

かなり悪な感じの奴や 日の光りを避けて生活しているような青白い肌のひ弱な美少女軍団だったりしている。

「 どうしたんだ聞こえない、

聞こえないよ

雰囲気あおってを盛り上げるヒロ

自分の耳を集ったオーディエンス達に、傾けて

また呼びかけた

 

「おーぃ、皆、いいのかい??

なぜ?ありったけの声を張り上げない

君達に不満はないのかい?

出来ない夢は、追わないのか?

いいよ、それも立派なことだ

でも、君達が夢を見なくなったら、

誰が、夢を追えばいいんだ、

簡単なことしばゃないか、情熱だよ、情熱・・

ここでは、どんなガラガラ声でも

大きな声を 出した者が勝利者だ

声が出せなかったら

思いっきり踊ればいい

それもだめなら

せめて、微笑んでくれ

ここじゃー校則なんて存在しないんだ

歌いたいやつが、ステージで歌えばいい

詩の朗読でもOKだぜ!!

好きな人の名前を叫ぶだけも在りだ

そうそう手話もありだぜっ〜

想ったとおりやってくれ

ここは 君達の為に作った発信の場だ

君達に与えられた自由の時間は、

想うほど多くないぜ..気づいてくれっー

今、今だよ声をださなきゃ

俺が声がつぶれる程叫んでやるから

声が出なくなってもかまわないから

皆続けよ、、、

YEAH〜!!!

 

マイクを床に叩きつけて、大きく息を吸い込んでから

体を二つに折り曲げて、血反吐がでるくらいの大声をだした。

唖然として、集ったオーディエンス達は、圧倒的な迫力に引いたが

やがて、熱気が「こだま」するように、

拳を突き上げながら一人二人と叫びだして

やがて全員が纏まって叫びだす

YEAH〜

「ありがとう! 皆の気持ち・・受け止めたぜ

今夜の主役は君達だ・・魂のパフォーマンスを楽しんでくれ

 

ヒロの挨拶が終わり 次のパフォーマーがダンスを披露すると同時に、

ステージから勇輝と玲奈が俺たちのもと降りてくる。

玲奈はアイラインを濃くした気合の入った化粧している

「武君 あざーっす

今日は真由美といっしょで

ルンルンだね

いいなぁ 青春真只中で」

 

「何言っての 玲奈さん 俺と一歳しか違わないくせに??」

「ああっ そっか そうだったね」

「・・・

それより玲奈さんこそ 勇輝といっしょで いいじゃん

おい 勇輝 何で玲奈さん来ること教えてくれなかっだ?」

「おまえさぁー こんところ瞳 

いや・・・瞳ちゃんが失踪して、元気なくしてたから、真由美にも内緒で

皆で相談して二人っきりにしてやりたかったのさぁ」

「余計なこと・・・・・

それって 真由美にも悪いじゃねいか」

(勇輝)

「真由美 迷惑だっか」

真由美は 少しがっかりした様子を見せたが、直ぐに笑顔で

「・・・  うんうん 大丈夫

そんなことないよ」

「ほらね そうだろ 武さぁ 真由美とデートできたんだから

俺に感謝しろよ」

「調子にのるんじゃねーよ

こんな大事な事でお前らの計画に乗らされたと思うと 腹立ってくる」

「ばかやろう こうでもしなければ お前がもてるわけないだろ」

「何」

(玲奈)

「ちっと やめてよ こんな所で喧嘩するのは」

俺と勇輝は 暫く睨みあったが、さすがに場所柄を 考えて大人しく玲奈の忠告に従った。

 


(ここからは 瞳目線で )

 

真夜中の公園前の道に 一人のが電信柱の夜間照明に照らされて歩み寄ってくる。

寂しそうなその顔は どこか逢ったことの有る少年

あれは 武だ 

けど 様子が変だ というよりは 全然幼い顔した中学一年くらの私より身長の低い武だ

声を掛けようとした時

照明から外れたから二人の高校生らしいが 突然に襲い掛かってきた。

二人係で腹や胸を 蹴られた武は 悲鳴をあげる間もなく道端に倒れて動かなくなった。

「 止めてっー 

武君 私よ 瞳よ

早くここから逃げて」

夜間照明が私の顔に注がれて 目が眩む そして意識が遠のく

 

遠くで歓声が聞こえる、薄目を開けると私は大きな鏡の前にへたり込んで寝ていたのか?。

今の夢ね

手が腕枕していたので、頭の重さで赤くうっ血している。

何処だろう。

夢から覚めきらないせいか?吐き気と頭痛して

焦点があわない眼鏡をかけたように全ての景色がぶれてはっきりしない。

ドア叩く音がしてコスプレ姿の女の子がどかどかと 入ってきた。

ステージを終えて着替える為に帰ってきただけなのに

怖い

彼女達が 少し怖いのは・・・なぜ?

 

 

人は いつも見慣れている風景の中では 平常心でいられるものかもしれない

それがひとたび環境も人間関係も初めての空間に放り込まれると

どうしょうもなく動揺して不安に陥るものだ。

私が 今経験している立場が まさにそれだ。

最近 私には 過去の自分というものが 曖昧で 

途切れ途切れだから

自分か今まで何をしてきたかが、思い出すまでタイムラグがある

それは夢から目覚めた瞬間だからだけでわない

だから ちっとしたことに 必要以上に 驚いている

 

最後に メイド姿の背の少し低い子が 入ってきて

「やぁーだぁ 洋子ったら

 まだ出番じゃないからって うたた寝しないでよ」

 

「洋子 って私のこと?」

意識が完全に戻った、話しかけたのは愛華だ。

ここはDreamBoxsの舞台裏の女子用控え室

そして私は ここでは洋子という女としてパフォーマンスをすることになっているんだ。

なぜここに私がいるのか、過去の経過が意識下層から泡のように

沸々と沸き上がってくる

そうだわ 私は瞳としての意識を取り戻してしまったんだわ

 

でも こまま洋子として振舞わなきゃね。

だって私は 洋子になってしまってから

偶然にも武が自転車で衝突して、顔見知りとなり

武が洋子としての私に接近してきたことに

哲は 異常な嫉妬しを燃やして危険な状態になってきている。

しかも

武の生活をスパイウェアーソフト「RoseWeater」を使ってメチャメチャにして社会的に抹消する計画を

轟と相談している所を 立ち聞きしてしまったんだわ。

哲が何をするかわからない危険な男だから

ほんとうに 怖い

けど ここで私が 武のために、ふんばらなければ

これからが 私の勝負なの

洋子のままで なんとか武に嫌われる女になって 武を哲の異常な嫉妬しから救わなければと思う

 

着替えが済んだコスプレ少女軍団は 慌しく衣装をバックに詰めると

いつも見慣れている普通の女子高校生らしい姿に戻ってそのドアをけたたましく開けて帰っていった。

残ったのは 私と愛華だけ

とその時 またドアが開いて ドア口まで迎えに行った愛華に寄りかかるように頼りないフラフラした足元で

少女が入ってきた。

どうやら酔っている様子だ。

「洋子 この子の出番まで、まだ少し時間があるから話しあいてになってあげて」

愛華に紹介された少女は ミクキャラのコスプレをしている。

今度は なぜか驚きも怖さも 和らいだ

愛華は二人が席につくのを見届けて

「私 もうステージの時間だから」

といって控え室を出て行った。

部屋は 動画サイトから抜け出したようなアルコールの匂う少女と二人っきり

沈黙の時間が流れた。

やがて 居たたまれなくなった私から口火を切った。

 

「私 ・・・・あの

洋子よ 貴方は?」

唇を硬く閉めて 初対面なのに彼女のパーソナルスペースに無頼に侵入した無法者を見る目つきだ

数秒経ってから やっと重たい口を開いた

「      亜美    で    す」

次の会話を拒否するかのように私の視線を避けて伏目がちに小さな声で話す

私は

「ね 亜美 もしかして酒飲んでない?」

「酒 そんなのどうでもいいじゃん

うざいなぁ あんた

私 飲んでないよっ」

「嘘 だって貴方の手にもってるの ビールじゃない」

「皆 そうやって私のことすぐに不良扱いするのよね」

「だって・・・」

「しょうがない・・・・

 

よく見てよ これノンアルコールよ

匂いだけょ

私が フラフラしてるのは、多分寝不足のせいね

ボーイフレンドから車で夜どうしかけてここに送ってもらったの

わかったー?」

「何処から」

「新宿から

でも ほんとうは ・・・・

 

 

 

生まれはこっちなの

あたし マジで家出中なの 」

「私と同じね・・・あっ」

えっー

ほんとに?

「あっ 嘘 嘘

今の冗談 でもなんか家出しょうかなー なんて

思うこと時々あるから

マジ 憧れるよ」

亜美は眉を吊り上げた。

憧れる ?私に・・・

頭ゆるいょ 私好きでやってるわじゃないから

大変なのよ 生活とか」

「ごめん 親とか 連絡してないの?」

「絶対に いや 連絡するくらいなら死ぬよ」

亜美は声を荒げたか゛ それが愛情を無くして彷徨う亜美の家庭の全てを語っていた。

「そう 話し 変えよう

ステージで何するの 」

『Tell Your World』歌うの」

「私も その歌好き」

「歌うと 何もかも忘れられるの・・・・

ねっ 洋子は?」

「私 ・・・あっ 私はギターのインスト」

「へぇー カッコイイ

ギター好きなの」

「好き」

亜美は私に 興味を持ったみたいで真正面で私を見つめながら話す。

「ギター誰から教えてもらったの

それとも独学?」

「誰から?

・・・・・

 

 

 

 

 

「どうしたの 洋子

ごめん なんか気に障ること言った」

「大丈夫 

大丈夫よ 私は」

「そうかな?

とにかく拭きなよ」

と亜美はハンカチを差し出した。

ハンカチを受け取る時に 気づいたのだけれど

亜美は目までのアイカラーコンタクトをしていた。

「亜美 すごーい 目もミク的な 感じね」

「まぁーねっ どうせやるなら、とことんやらないと面白くないでしょっ」

「そうだねっ」

妙に打ち解けてしまった雰囲気の中、身構えないで久しぶりに同世代の少女と話しが出来た感じて

私は 時間を気にすることさえ忘れてるようなっていった。

 

その時 私のスマホが鳴り出した

亜美に頭を 軽く下げて

メールを開くと 哲からだ・・・

 

「洋子 わかつていると思うけど

今日は 武がDreamBoxsに来ているはずだから

油断しないで近づかないでっ欲しい

もしも、話仕掛けられたら挨拶だけして、すぐ逃げてくれっ

それでも武が 諦めないで寄ってきたら、念のために

会場の中に轟を進入させて洋子を見張らせている

武との洋子の間に入って阻止することになっているからね

 

覚えていないだうけれど 君は高一の時に

一言でとても説明できないほど複雑な精神状態だったんだ。

だから僕は 君に心の安定を得るための特別な治療ほどこしたんだ

それが 武に近づくと崩れて 大変な事になるから気おつけてっ」

 

『哲は まだ私の意識が催眠誘導を掛けられる前の瞳に戻っていることに気がついていない

面倒な事になったわっ

今日は特に危ない感じがする

どうしょう あの空手格闘家のような 危ない不良少年の轟が 来ているなんて

 

私は直ぐに、『哲に メール          判ったわ 大丈夫

と喋って返信して哲の警戒心を解きほぐそうとした。

(亜美)

「洋子 彼氏からのメール?」

「メール?

うん ・・・ そうなの」

「やっぱり彼氏かぁー ねっ どんな人」

「・・・困ったなぁ

ごめん あんまり話したくないの

 

 

ね それより亜美の彼氏は どんな人なの」

 

「私の彼氏の話し

・・・まぁいいか

彼氏ね

永治  って言うんだけど

永治とは家出して一週間目の日に

泊まるお金も尽きて駅で寝ようか公園で野宿しょうか迷っていた時に 出会ったの

最初 声かけられた時は 私より長い髪を後ろの纏めてよれよれのGパン

ヤバイ人かと思ったけど

空腹と疲労と寒さで、どうなってもいいから

体を預ける覚悟して泊めてもらったの

ご飯いっしょに食べて、彼たら 変なの」

「変って?」

「そう永治は 私に指一本触れないで 家出の話し聞いてくれて

ふわふわのベットに私を自分は床に寝てしまったの

もしかしたら 朝目が覚めたら どこか知らない場所に身売りされちぅんじゃないかと

勘ぐったりもしたけど

全然 普通に

「おはよう」

何て言って私を起こしてくれて

「俺これから バイトあるし じゃね」って言い残して

私をすっかり信用しちゃって鍵も掛けずに出て行ったの

一週間泊めてもらってわかったんだけれど

永治はある有名な劇画先生のアシスタントやっているらしいの

給料全然安いんで

その他にコンビニと居酒屋の掛け持ちやっていて、

私が出逢ったのは その居酒屋のバイトの帰りだったの

運がよかったわ

もし 永治じゃなかったら

いまごろ

・・・」

「亜美っ」

「あっ そ それでね

永治に バイト先まで 紹介してもらって

今 同棲ちゅうなの」

 

 

「そっかー 

その出会いも深いねっ

 

 

そろそろ亜美の出番じゃないっー?」

「あっ そうね 了解」

ふら付いた足元なのに、とおどけて婦人自衛官のような敬礼をした。

亜美は ノンアルコールと言っていた??ビールを 顔に掛けてステージのしたくをし始めた。

「何している?」

「ビール体に掛けると なんだか落ち着くの

洋子も次なんだからやっみなよ」

と言って 無理やり

野球のリーグ戦優勝の祝賀会の時のように、亜美はビールを私の顔に掛けた。

そして私の手引っ張って ステージの舞台裏まで連れてきた。

 

ステージでは 愛華が舞台の右側の席に座っている

周りのオーディエンスとは少し雰囲気の違う集団に 何やら手話で舞台に上がるように誘っている

最初は その集団は 恥ずかしそうに周りを気にして愛華の誘いを拒否していたが

愛華は舞台から降りて集団のリーダらしき少女を手話で説得して

無理やり舞台に上げた。

リーダは上がった舞台から残りの三人に手招きするとがまた舞台にあがり

5人は愛華を中心に円陣を組んでから

花びら開くように愛華を中心に広がり

愛華だけ一歩前出て

たぶん打ち合わせしてきたのだろう

手話ソング「夢であえたなら」を歌いだした。

残りの彼女達は聴覚障害にもめげずバックで歌振りをしている

仲間をバックにした愛華は 自信に満ちた笑顔で歌ったいる。

 

そして愛華達を熱心に見つめながら夜光ペンライト大きく振って

声援を送っているがいた。

 

 

 

『武だ

 武がいる

  その横に寄り添っているのは      

 

      ま      

 

     真由美だ・・・

 

   勇輝君も玲奈さんもいる

 

 

あーっ

このまま 「私は 瞳よ」と打ち明けてしまって どんなにか楽な気持ちに戻りたい事かっ...

けど それは今となってはもう許されない

何て 皮肉なの 武の為に 失踪したのに

こんなに苦しむなんて』

私は選んだ道を突き進む為に大切なものを失ったかもしれないという

その代償のあまりの大きさに耐えられず

目の前の光景を両手で塞ぎ、足元のおぼつかない亜美にすがり付くように寄りかかり跪いた。

 

「洋子 洋子

貴方を 苦しめているのは あの子ね」

「 何のこと」

「隠してもだめっー

私だって それくらい ビビでわかるよ」

「違うよ ただのいつもの貧血」

 

「だめだめ

もっと素直になったら

恋って ありままの心が全じゃん

 

と亜美は優しく私の肩に手を掛けて左手で私を立ち上がらせた

「ねっ 洋子

 

永治が 言うのよね

 

『人は本気で好きになった思いの分だけ 人から愛される』

 

その言葉の意味が 最近やっと分かりかけてきたの

洋子の彼氏のことはさぁ

よくわかんないけど

悩んだぶんだけ 後できっといいことあるょ」

 

 

 

 

第4話 衝突

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